●Googleも企業BIを狙っている
GoogleのベータサービスであるLabsに、MapReduceホスティング的サービス「BigQuery」が登場。これまでデータウェアハウスがやってきた分野をHadoopディベロパがかっさらおうとしている最中、MapReduceの本家がそのホスティングサービスを開始すると言っているように聞こえる。ユーザはGoogle Storage for Developers経由で巨大なデータを転送し、SQLライクな命令でBigQueryに処理を委託できる。
http://googlecode.blogspot.com/2010/05/bigquery-and-prediction-api-get-more.html
またGoogle App Engine上でMapReduceを実現するオープンソースプロジェクト「appengine-mapreduce」も動き出した。前述のBigQueryは中身が隠蔽されているため、MapReduceで処理しているかどうかは不明だが、appengine-mapreduceはMapReduceのオープンソース版と言っていい。
まっさらな会社が新しい社内システムを作る場合にはとても魅力的だが、既存のシステムを持つ会社がこれに移行するには、移行期間に並行運用が可能となるような仕組み(認証基盤、データのツナギなど)が提供されなければならない。もちろん、明日あたり、これらの機能が実装されたGoogle Appsが前述のChrome Web Storeにアップされているのかもしれない。
・Android 2.2
1人の独裁者、1つの企業、1つのデバイス、1つのキャリアからもたらされるのは1つの選択肢しかない、こんな未来はいらない、とバッサリ。明らかにAppleを指して言っている。一方GoogleのAndroidは21のハードウェア企業にOEM提供し、世界 48カ国の59のキャリアで動作する。
そのAndroidの新バージョンである2.2(コードネーム"Froyo")が発表された。パフォーマンス向上、企業向けの機能強化、アプリケーションのクラウドバックアップ、クラウドからのPUSH型メッセージングAPI、Webアプリケーションからのカメラ/GPSなどのデバイスへのアクセス方法の提供、音声検索など。メッセージングAPIはちょっと面白い。PCからクラウド経由でAndroidデバイスにメッセージを送信できる。例えばPC上のGoogleマップで検索したナビゲーション情報を送ると、AndroidデバイスではGoogleマップが自動的に開かれナビゲーション情報を表示する。
・Google TV
Webとテレビを融合するソフトウェアプラットフォーム「Google TV」を発表。Android 2.1ベースでChromeブラウザとFlashがついている。そのため、モバイルで観ていたYouTubeの動画をTVに送信して家族でシェアして観たり、Android Marketからアプリをダウンロードして走らせたり、Flashゲームを楽しんだりできる。デモではドラマのクローズドキャプション(字幕)をGoogle Translateを使ってリアルタイム翻訳して表示させていた。Google TVを使う方法は次の3つ。Sonyから発売予定のGoogle TV対応テレビ、Logitechから発売予定のセットボックス、サテライトボックス。いずれも2010年秋に発売を予定している。
またGoogle App Engine上でMapReduceを実現するオープンソースプロジェクト「appengine-mapreduce」も動き出した。前述のBigQueryは中身が隠蔽されているため、MapReduceで処理しているかどうかは不明だが、appengine-mapreduceはMapReduceのオープンソース版と言っていい。
現在はPythonのみ、しかもMapperの試験実装だけが公開されているが、今後はJava版の開発も行っていく模様だ。
●Google I/O 2010でのいくつかの重要な発表
2010年5月19日から2日間、Googleによるディベロパ向けの年次イベント「Google I/O」がMoscone Center (San Francisco, CA)で開催され、5,000人以上のディベロパが参加した。「I/O」はディベロパがコーディングをするときに最初に考えるものである入出力を表すと同時に、Webやコラボレーションを使ったオープンな中でのイノベーション(Innovation in the Open)という願いがこめられているとのこと。参加には$2,000以上必要だが、チケットはほぼ即日完売の人気ぶり。今年はキーノートの様子がYouTubeでリアルタイム中継されており、Twitterでは視聴者が秒刻みでキーノートの様子を逐次アップしていく様子を見ることができた。リアルタイム中継の視聴者の数は24,000人であった。キーノートの様子はそのままYouTubeにオンデマンドストリーミングとしてアップロードされており、現在も観ることができる。
●Google I/O 2010でのいくつかの重要な発表
2010年5月19日から2日間、Googleによるディベロパ向けの年次イベント「Google I/O」がMoscone Center (San Francisco, CA)で開催され、5,000人以上のディベロパが参加した。「I/O」はディベロパがコーディングをするときに最初に考えるものである入出力を表すと同時に、Webやコラボレーションを使ったオープンな中でのイノベーション(Innovation in the Open)という願いがこめられているとのこと。参加には$2,000以上必要だが、チケットはほぼ即日完売の人気ぶり。今年はキーノートの様子がYouTubeでリアルタイム中継されており、Twitterでは視聴者が秒刻みでキーノートの様子を逐次アップしていく様子を見ることができた。リアルタイム中継の視聴者の数は24,000人であった。キーノートの様子はそのままYouTubeにオンデマンドストリーミングとしてアップロードされており、現在も観ることができる。
(Internet Explorer以外がHTML5をサポートしているグラフを示しながら)すべてのモダンなブラウザがHTML5をサポートしていると言い放って観衆から拍手喝采を受けると、今後はHTML5がWebを支える重要な技術でありGoogleはディベロパが簡単にHTML5の技術の恩恵を受けられるようにAPI開発を行っていく、と本腰でHTML5をやっていく姿勢を示した。
・ビデオコーデック「VP8」のオープンソース化
今年Googleはビデオコーデック技術の会社であるOn2 Technologiesを$2Bで買収しているが、Googleはその「VP8」と呼ばれるビデオコーデックをオープンソースにすることを発表した。そしてオープンソースの音声フォーマットOgg Vorbisと合わせてオープンで高品質なWebメディアを開発するプロジェクト「WebM」を立ち上げることを発表した。
WebMプロジェクトには、Mozilla、Adobe、Opera、Skypeなどのソフト系ベンダだけでなく、AMD、ARM、NVIDIA、Qualcommなどのチップ系ベンダなど38社が参画している。なお、YouTubeにアップされているこのキーノートのビデオも、早速WebMを使って制作されていた。つまり、Adobe Flashで既にWebMをサポートしていることがわかる。また既存のYouTube動画のURL末尾に「&webm=1」を追加すると、実験的ではあるが、WebM版の動画リストが表示されるようになっている。もちろん再生するには「モダンなブラウザ」が必須である。
・Chrome Web Store
Webアプリが増えるに従い、ユーザが目的のアプリケーションを見つけるのが難しくなってきた。またディベロパはアプリを配布する環境を整え、マネタイズの方法を考え効果的に宣伝し、ユーザからのフィードバックを得る、というのは簡単ではない状況にある。そこでGoogleはWebアプリのマーケットプレイスを開発中であることを発表。いってみれば、Google版のApp Exchangeであり、iTunes App Storeである。面白いのは、C++などのネイティブコードで書かれたアプリも扱えること。つまりWebブラウザで高速に動作する3Dゲームを楽しむこともできる。日本語を含む40以上の言語を対象に開発を進めており、2010年の秋ごろに公開を予定している。
・VMwareとの協業によるJavaアプリのクラウドポーティング
なんとVMwareのPaul Maritzが登場。そしてGoogleとVMwareがJavaアプリのクラウドポーティングに関する協業について発表。
SpringSourceの持つJavaフレームワークSpringをバックエンドにして、Google Web Toolkit(GWT)のリッチなUIとつなげ、Javaアプリの開発を容易にした。つまりvCloudにSpringフレームワークを乗せただけでなく、なんとGoogle App EngineにもSpringフレームワークを乗せてしまったのだ。
デモではわずか200キーストロークだけで経費精算レポートシステムを構築、時間にすると解説も入れてわずか2分。信じられない方は是非YouTubeをご覧いただきたい(デモは1:30:00頃)。もちろん、開発したアプリはクリックひとつでGoogle App Engineにデプロイ可能。またGWT 2.1 Widget Libraryを使うとそのままiPhone/iPadやAndroidなどのモバイルでも同じWebアプリケーションが利用できる。次のデモでは、さきほど2分で構築した経費精算レポートシステムを使って、Nexus Oneから3Gネットワーク経由で夕食接待費の精算申請を入力し(左側)、上司がそれをWiFi経由のiPadで承認してみせた(右側)。
・ビジネス向けGoogle App Engine
ビジネス向けのGoogle App Engineを発表。これは通常のGoogle App Engineにビジネス向けの機能を追加したものだが、注目すべきはSQLデータベースの提供だろう。これまではGoogle App Engine上のアプリがデータを永続化するには、BigTableと呼ばれる列指向DBMSに特殊なAPIを通してアクセスする必要があり、これまでのRDBMSを前提に構築されたアプリを乗せるのは容易ではなかった。SQLがサポートされることで、一番大きな敷居が取り除かれることは確実だろう。事実、会場にいるディベロパからは拍手が起こった。
気になる料金は、ユーザあたり$8/月とリーズナブル。1つのアプリケーションで最大$1,000/月まで課金し、それ以上は使い放題になる。SNSなどの非業務系アプリから試してみてはいかがだろう。顧客に提案する際のインフラの選択肢のひとつとしても使えるだろう。
・ビデオコーデック「VP8」のオープンソース化
今年Googleはビデオコーデック技術の会社であるOn2 Technologiesを$2Bで買収しているが、Googleはその「VP8」と呼ばれるビデオコーデックをオープンソースにすることを発表した。そしてオープンソースの音声フォーマットOgg Vorbisと合わせてオープンで高品質なWebメディアを開発するプロジェクト「WebM」を立ち上げることを発表した。
WebMプロジェクトには、Mozilla、Adobe、Opera、Skypeなどのソフト系ベンダだけでなく、AMD、ARM、NVIDIA、Qualcommなどのチップ系ベンダなど38社が参画している。なお、YouTubeにアップされているこのキーノートのビデオも、早速WebMを使って制作されていた。つまり、Adobe Flashで既にWebMをサポートしていることがわかる。また既存のYouTube動画のURL末尾に「&webm=1」を追加すると、実験的ではあるが、WebM版の動画リストが表示されるようになっている。もちろん再生するには「モダンなブラウザ」が必須である。
・Chrome Web Store
Webアプリが増えるに従い、ユーザが目的のアプリケーションを見つけるのが難しくなってきた。またディベロパはアプリを配布する環境を整え、マネタイズの方法を考え効果的に宣伝し、ユーザからのフィードバックを得る、というのは簡単ではない状況にある。そこでGoogleはWebアプリのマーケットプレイスを開発中であることを発表。いってみれば、Google版のApp Exchangeであり、iTunes App Storeである。面白いのは、C++などのネイティブコードで書かれたアプリも扱えること。つまりWebブラウザで高速に動作する3Dゲームを楽しむこともできる。日本語を含む40以上の言語を対象に開発を進めており、2010年の秋ごろに公開を予定している。
・VMwareとの協業によるJavaアプリのクラウドポーティング
なんとVMwareのPaul Maritzが登場。そしてGoogleとVMwareがJavaアプリのクラウドポーティングに関する協業について発表。
SpringSourceの持つJavaフレームワークSpringをバックエンドにして、Google Web Toolkit(GWT)のリッチなUIとつなげ、Javaアプリの開発を容易にした。つまりvCloudにSpringフレームワークを乗せただけでなく、なんとGoogle App EngineにもSpringフレームワークを乗せてしまったのだ。
デモではわずか200キーストロークだけで経費精算レポートシステムを構築、時間にすると解説も入れてわずか2分。信じられない方は是非YouTubeをご覧いただきたい(デモは1:30:00頃)。もちろん、開発したアプリはクリックひとつでGoogle App Engineにデプロイ可能。またGWT 2.1 Widget Libraryを使うとそのままiPhone/iPadやAndroidなどのモバイルでも同じWebアプリケーションが利用できる。次のデモでは、さきほど2分で構築した経費精算レポートシステムを使って、Nexus Oneから3Gネットワーク経由で夕食接待費の精算申請を入力し(左側)、上司がそれをWiFi経由のiPadで承認してみせた(右側)。
・ビジネス向けGoogle App Engine
ビジネス向けのGoogle App Engineを発表。これは通常のGoogle App Engineにビジネス向けの機能を追加したものだが、注目すべきはSQLデータベースの提供だろう。これまではGoogle App Engine上のアプリがデータを永続化するには、BigTableと呼ばれる列指向DBMSに特殊なAPIを通してアクセスする必要があり、これまでのRDBMSを前提に構築されたアプリを乗せるのは容易ではなかった。SQLがサポートされることで、一番大きな敷居が取り除かれることは確実だろう。事実、会場にいるディベロパからは拍手が起こった。
気になる料金は、ユーザあたり$8/月とリーズナブル。1つのアプリケーションで最大$1,000/月まで課金し、それ以上は使い放題になる。SNSなどの非業務系アプリから試してみてはいかがだろう。顧客に提案する際のインフラの選択肢のひとつとしても使えるだろう。
まっさらな会社が新しい社内システムを作る場合にはとても魅力的だが、既存のシステムを持つ会社がこれに移行するには、移行期間に並行運用が可能となるような仕組み(認証基盤、データのツナギなど)が提供されなければならない。もちろん、明日あたり、これらの機能が実装されたGoogle Appsが前述のChrome Web Storeにアップされているのかもしれない。
・Android 2.2
1人の独裁者、1つの企業、1つのデバイス、1つのキャリアからもたらされるのは1つの選択肢しかない、こんな未来はいらない、とバッサリ。明らかにAppleを指して言っている。一方GoogleのAndroidは21のハードウェア企業にOEM提供し、世界 48カ国の59のキャリアで動作する。
そのAndroidの新バージョンである2.2(コードネーム"Froyo")が発表された。パフォーマンス向上、企業向けの機能強化、アプリケーションのクラウドバックアップ、クラウドからのPUSH型メッセージングAPI、Webアプリケーションからのカメラ/GPSなどのデバイスへのアクセス方法の提供、音声検索など。メッセージングAPIはちょっと面白い。PCからクラウド経由でAndroidデバイスにメッセージを送信できる。例えばPC上のGoogleマップで検索したナビゲーション情報を送ると、AndroidデバイスではGoogleマップが自動的に開かれナビゲーション情報を表示する。
・Google TV
Webとテレビを融合するソフトウェアプラットフォーム「Google TV」を発表。Android 2.1ベースでChromeブラウザとFlashがついている。そのため、モバイルで観ていたYouTubeの動画をTVに送信して家族でシェアして観たり、Android Marketからアプリをダウンロードして走らせたり、Flashゲームを楽しんだりできる。デモではドラマのクローズドキャプション(字幕)をGoogle Translateを使ってリアルタイム翻訳して表示させていた。Google TVを使う方法は次の3つ。Sonyから発売予定のGoogle TV対応テレビ、Logitechから発売予定のセットボックス、サテライトボックス。いずれも2010年秋に発売を予定している。
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