1/05/2011

ソーシャルアドレス帳

Posterousに投稿したけど、こっちにまとめとく。自分メモ。

ソーシャルアドレス帳っていうのは、僕の造語(だと思う)なんだけど、ユーザ主導で構築された、世界でひとつの大きなアドレス帳のこと。 

これまでのアドレス帳は、その所有者がメモってたり、あるいはタウンページみたいな電話帳だったわけです。最近では携帯電話の中に収まってたりしますが。でもこんなことしちゃうと、携帯電話買い換えたり、引っ越したり、メールアドレス変えたり、これまた最近だとTwitterやSNSのアカウント名変えたりすると、アドレス帳の情報は明示的に書き換えるまでずっと古いままになってしまうのです。そのため、そういうアドレス帳に記載されている情報に変更があった人が、それを教えたであろう人にお知らせするわけです。ぶっちゃけ、めんどくさい。 

もうひとつ云えば、一度手から離れた情報は、回収できないのです。アドレス帳に載せる情報なんてのは思いっきり個人情報なのに、セキュリティ管理のレベルがまちまちなお友達やご知人たちにそれを渡すのはどうかと思うし、一旦教えてしまったけど、後になって失敗したなぁとか思うこともあるかもしれないでしょう(笑)。 

そこで、ソーシャルアドレス帳です。じゃーん。自分の情報は自分でアップデートして、その情報にアクセスできる人を「設定」すればいい。もちろん、変更した情報は通知したりされたりする必要なんてなく、WebブラウザからとアプリからRESTなAPI経由で突っつけるようにしといて、常に最新の情報が取れるようにしとけばいい。SNSなどのプロフィールも、ここから取ってくればいい。利用者はいちいち複数のサイトのプロフィールを書き換える必要はない。各サイトで記載する情報を変えたい場合は、サイトに応じて出す情報を管理(設定)できるようにしておけばいい。 

そしてさらに、認証基盤としても動作させられるようにしたい。せっかくアイデンティティ情報を握ってるんだから、認証もここでやりたい。まずは普及してるOpen IDから対応させる。将来的には、是非、「事実上の」国民IDとして活用してもらいたいね。小国は国民IDとして採用するところも出てくるかもしれない。 

チャレンジなところは、普及の方法でしょう。現在広く使われている「サイロ」なやり方が競争相手。紙のやつに対してはPCからWebで見てもらうか、あるいは電子書籍版を出せばあとは時間が解決してくれそうだし、iPhoneやAndroidはアプリを作ってうまいこと電話やSNSアプリなどと連携させられれば素敵なんだけど、問題は旧式の携帯電話に入ってるやつでしょう。ネイティブの電話帳アプリしか使えないのも多い。ここは最後に手をつけるという作戦にするなら、もうちょっとスマートフォンが普及して「これいいじゃん」って言ってもらえる時代に出せるように、世の中に出すタイミングを図ることだな。 

僕の読みだと、そろそろ顔出しを初めてもいい頃合い。でなければ、僕が作ろうかな。だって、僕が一番使いたいもん。

マネタイズの話が抜けてたね。利用者は無料が当然でしょう。お金は、まずSNSなどのソーシャル系サービス運営会社からいただきます。彼らにとっては、ユーザを獲得する手段になるはず。

次に、企業向けサービスをやって、そこからもいただきます。ひとつは社員向け。企業からみたら、社員の情報を管理したいと思うはず。そういう企業向けの専用ポータルや専用グループの作成や、LDAPで管理されるような部署や役職の管理、パスワードポリシなんかの機能があれば、たぶん欲しいんじゃないかと思う。

ふたつめは、企業の顧客向け。例えばB2CのEコマースなんかだと、顧客の個人情報を管理するのは、はっきりいってリスク以外の何者でもない。なんだかんだいっても個人情報漏洩は嫌でしょう(笑)。そうは言っても、顧客の個人情報がなければ、商品を送れないし、連絡もできない。だから、ソーシャルアドレス帳から引っ張ってくれば、自社で管理する必要がなくなるというわけです。これもたぶん売れる。

各SNSや企業に個人情報を提供するか否かは、ソーシャルアドレス帳の利用者各々が管理(設定)すればいい。そしてもちろん、Default Deny(設定されていなければ提供しない)が、ネットワーク屋さんのルールですね。

そういえば去年の暮、Haas Schoolの先生に同じ話をしたら、同じようなことを考えている人がいると言ってたな。コンタクトするかどうかは迷うな。敵かな?味方かな?(エキセントリック少年ボウイ)

1/03/2011

iPhone持って走る人に。 SPIbelt

iPhoneにGPSのランニングアプリ入れて走るのはいいんだけど、手にiPhone握ったまま走るのがわりと邪魔に思えてきて、汗かいたらスッポ抜けるかもー、ちょっと嫌かもー、と思って物色してたらいいの見つけたんだな、これが。
その名も、「SPIbelt(スパイベルト)」。当初は旅行するときにパスポートをパンツの裏側に隠し持つために作られたらしいんだけど、ランナーとは、これまたうまい市場を見つけたもんだ。テキサスの会社だったのでてっきり米国だけしか売ってないかと思いきや、日本のAmazonでも売っててちょっと残念。Made in USAです。



見た目はえらいコンパクトなんだけど、結構伸びるから、iPhoneや二つ折り財布ぐらいなら余裕で入る。体にぴったりする感じで、走ってもあんまり揺れたりしないのがイイ!
僕はiPhoneとおうちの鍵を入れてます。鍵と一緒に入れるとビミョーに擦れて傷が付いたら凹むので、iPhoneをケースで保護するのをお忘れなく。

ちなみに、走り終わったら、内容物はほんのりしっとり仕上がりです。

12/01/2010

カリフォルニアで車を売るときの手続き

カリフォルニアで車を売るときの手続きをまとめておく。

●譲渡することが決まったら
[売り手]
1) DMVのWebサイトからBill of Sale (REG 135) をダウンロードして印刷しておく。
http://dmv.ca.gov/forms/reg/reg135.pdf
もしインターネットが使えない場合は、DMVに取りに行く。 

2) California Certificate of Title (カリフォルニア州の車両登録証、通称 "Pink Slip")を紛失してしまった場合は、Application for Duplicate Title (REG 227)もダウンロードして印刷しておく。
http://dmv.ca.gov/forms/reg/reg227.pdf
もしインターネットが使えない場合は、DMVに取りに行く。

3) 譲渡する日から遡って90日以内に、近くの認定店でSmog CheckをしてSmog Certificateをもらっておく。費用はお店(と気分)によって異なるが、だいたい$65ぐらい。 

[買い手]
譲渡される日からの自動車保険に加入しておく。 たいてい、車種、年式、VINなどが必要なので、売り手に確認する。

●譲渡当日
[売り手]
1) California Certificate of Title と Bill of Sale (REG 135)の必要項目を埋めて、サインする。Bill of Sale (REG 135)は2枚つづりになっていて、2箇所に同じサインをする。

California Certificate of Titleを紛失してしまった場合は、Application for Duplicate of Titleの必要項目を埋めて、サインする。

2) California Certificate of Titleの上の部分のNotice of Transfer and Release of Liabilityを切り離して、Bill of Sale (REG 135)と一緒に買い手に渡す。
Bill of Sale (REG 135)は買い手のサインをもらったら、2枚つづりの片方を切り離して、1枚を自分で保管する。

3) Odometerの数字はメモっておく。

4) Smog Certificateを渡す。

[買い手]
1) 売り手から指定された方法でお金を渡す。 信頼のおける友人ならPersonal Checkでよいかもしれないが、通常は売り手宛のMoney OrderやBank Checkを作って持っていく。

Money Orderはスーパーなどで、Bank Checkは取引口座のある銀行で作る。

2) 売り手から受け取ったCalifornia Certificate of Title と Bill of Sale (REG 135)の必要項目を埋めて、サインする。

Bill of Sale (REG 135)は2箇所に同じサインをして切り離し、片方を売り手に渡す。

●譲渡後
[売り手]
5日以内に、DMVのWebサイトから譲渡及び免責通知 (Notice of Transfer and Release of Liability)を行う。
http://dmv.ca.gov/online/nrl/welcome.htm
このとき、Odometerの数字が必要になる。

もしインターネットが使えない場合は、California Certificate of Titleから切り離したNotice of Transfer and Release of Liabilityに必要事項を記入して、5日以内にDMVに届くように郵送する。

[買い手]
10日以内にDMVに行って、Vehicle Registrationの手続きをする。 必要なものは、ID、California Certificate of Title、Smog Certificate、保険加入証、Transfer Fee、Tax。
Transfer Feeは$15、Taxは登録する郡 (County) によって決められていて、だいたい購入価格の15%ぐらい。

●参考
DMV - How to change vehicle ownership
http://dmv.ca.gov/pubs/brochures/fast_facts/ffvr32.htm


11/28/2010

日本人が英語に対して苦手意識を持つ理由

たまには趣向を変えて。

日本人が英語に対して苦手意識を持つ理由は何かを考えてみる。僕は、中学校、高校での英語の授業そのものが、あるいは日本の大学受験のしくみが、英語に対する苦手意識を植え付けることになっているのではないか、と思っている。


学生時代の話だが、僕はベルギーで学会発表することになって、たまたま2週間違いでドイツで学会発表することになった友人と、パリで合流して遊ぶことにした。ただ学生だったので、ほとんど無銭旅行。ホテルも予約しないで行ったもんだから、朝起きて最初にすることは、その日の宿を探すことだったりした。二人とも大学での第二外国語はドイツ語だったから、フランス語は全くの素人。今から考えると、ただの無計画だし、若かったなぁと思う。でも、地球の歩き方の後ろのほうに載っている「あいさつ」と「数字の読み方」だけを覚えて、ちゃんと1週間快適に過ごせた。あとはいろんな人に言葉を教えてもらった。パリ旅行の最後には、定食屋のおばちゃんとカタコトの世間話ができるようになったし、その後訪れたベルギーのパン屋の初対面のおばちゃんとも世間話できていた。知っている言葉だけでなんとか伝えたいという気持ちさえあれば、わりと会話できるもんだ。フランス語ならできて英語だとできない、なんてことはないと思う。

ところがその後が問題。学会で出会った人たちに挨拶するのがカタコト未満になってしまったのだ。そう、学会ではみんな英語、フランス語ではない。しかも学会発表では、用意していたカンペをほとんど読むような状態。質疑応答なんか、当たらずとも遠からずな回答をして、何を答えたのかよく覚えていない。今でも、その時に感じた不思議な感覚は忘れない。生まれて初めて使うフランス語は陽気にしゃべれるのに、何年も勉強してきた英語は口から出てこないのだ。英語をしゃべると間違えるんじゃないか、間違った英語をしゃべることはとても恥ずかしいことだ、なんていう、そういう潜在意識が邪魔していたんだと思う。


中学校、高校の英語の授業では、必ず試験をする。中学校なら高校受験、高校なら大学受験が控えている。入学試験にはほとんどの場合に英語の試験が含まれているので、入学試験に合格するために、その他大勢の日本の若者たちと英語の試験の点数で戦うことになる。

その試験。みんなが100点採れるんなら特に大きな問題にはならないが、現実はそんなことはなくて、100点採れるのは5%ぐらいで、例えば平均は70点ぐらいで、もしかしたら限りなく0点に近いような奴もいる。そしてここで最も恐ろしいことは、平均点よりも下の点を取った50%の前途明るき若人たちに、「俺って英語できねー」という意識を、英語の試験をする度に、繰り返し繰り返し、精神の奥底に植え付けていくことになる。50%って、半分よ。将来の日本国民の半分は、英語に対する苦手意識を植え付けられて育っていくのだ。

高校までに習う英単語で、ほとんどの英会話はできるようになると言われている。ロングマン英英辞典では、平易な英単語2,000語だけで全ての収録語が説明されていることをご存じだろうか?つまり、この2,000語を覚えてさえいれば、表現の不自由はあるかもしれないが、英語で表現可能な全てのことを表現できることになる。一方、例えば中学校、高校の教科書に出てくる単語数を見てみると、中学校までで1,000〜1,200語、高校までで2,000語ぐらいらしい。実際、大学入試対策のための単語本は基礎的なものであれば1,800語あたりのものが多い。これらの積集合が一致しているとは言わないが、だいたい、高校までの英語の教科書に出てくる単語だけで英語をしゃべれるようになるはずだ。あとはその並べ方だけ。並べ方となると、文法も大切なんだけど、もっと大切なのは、慣れなんだと思う。知ってる単語を並べて、試してみて、通じなかったら別の順番を試す。ジェスチャーを交えてのトライ&ラン。英語でも、これでいつか意思疎通を図ることができるようになる。

そこで提言ひとつめ。中学校、高校で英語を教えるのを止めませんか?
ふたつめ。教えるのはアリにするとして、試験を止めませんか?
みっつめ。試験もするなら、みんな100点とれるようにしてもらえないですか?

9/29/2010

クラウド事業者と名乗るための最低条件?

2010年9月27日の日経産業新聞3面に、日経BPの北川氏による「クラウド市場、過大評価?」という記事の中で、「クラウドの最低条件である仮想化とプロビジョニングがそろってからクラウド企業を名乗るべきだ」という内容の記述があった。おそらくパブリッククラウドのIaaSまたはPaaS事業者を対象にしたものと思われるが、果たして本当だろうか?

僕の個人的な意見を述べさせて頂くとすると、半分賛成、半分反対だ。例えば、クラウドという言葉を作ったGoogleは、仮想化技術を使っていない。冒頭の文言に従えば、Googleはクラウド企業を名乗るべきではない、というおかしなことになってしまう。

[参考資料] Channel Register "Google abstains from blades, VMware and the rest of the hype"
http://www.channelregister.co.uk/2007/06/25/google_barroso_datacenter/

一方で、日本のIT業界はクラウドというキーワードを非常に広義な意味でとらえ、商売のための言葉、いわゆる「バズワード」にしてしまった感も否めない。未だに「インターネットを介してサービスを提供していればクラウド」などと真面目に語られると、こちらが赤面してしまう。したがって、何でもかんでもクラウドと呼んで欲しくない気持ちもよくわかる。

そこで本稿では、まず米国で一般的なNIST (National Institute of Standards and Technology) によるクラウドの定義を紹介し、次に日本および米国におけるクラウド事業者、特にプラットフォームを提供するサービス事業者について、「クラウドを名乗る条件」という視点から調査、比較した結果をまとめる。

クラウドの定義
まずクラウドの定義についてまとめておく。米国は、NISTの定義が業界標準になったと言ってよいだろう。NISTの定義は、5つの本質的な特徴、3つのサービスモデル、4つのデプロイメントモデルで構成されている。以下にその日本語訳を掲載する。日本語訳はAgile Cat氏のブログを抜粋し、一部を改変して掲載している。

[参考資料] Agile Cat氏ブログ 「とても重要なNISTのクラウド定義:対訳」
本稿もこのNISTによるクラウドの定義に則って記載するが、ここで注意していただきたいのは、NISTの定義では仮想化をクラウドの必要条件にしておらず、あくまで例として記載している点だ。

●5つの本質的な特徴
1)オンデマンド・セルフサービス
それぞれのサービスプロバイダーとの人的な対話に依存することなく、消費者は必要に応じて自動的かつ一方的に、サーバやネットワーク、ストレージの利用時間といった、コンピューティングの能力をプロビジョニングする。

2)広帯域のネットワークアクセス
このコンピューティング能力は、ネットワーク上で利用でき、また、標準的なメカニズムを介してアクセスできる。それにより、各種のシン/シック クライアントプラットフォーム(モバイルフォン/ラップトップ/ PDA)からの利用が促進される。

3)リソース・プール
プロバイダーがコンピューティングリソースは共有され、マルチテナントモデルを利用する多数の消費者に提供される。そこでは、消費者からの需要にしたがって動的に割当/解消される、物理的あるいは仮想的なリソースを用いられる。一般的に、そこで供給されるリソースの正確な位置を、顧客が制御/知覚することはない。そのため、ロケーションから独立した感覚があるが、より高い抽象レベル(国/州/DC)においてロケーションは特定されるかもしれない。こうしたリソースの例としては、ストレージ/プロセッサ/メモリ/ネットワーク帯域幅/仮想マシンなどが含まれる。

4)迅速な伸縮性
コンピューティング能力のプロビジョニングは、迅速で伸縮性のあるものになる。そして、いくつかのケースでは自動的に、スケールアウトの際に拡大し、また、スケールインの際に縮小する。消費者にとって、このプロビジョニン能力は無限に追加できるものになり、また、従量制で購入できるものとなる。

5)(適切に)測定されたサービス
サービスの種類(ストレージ/プロセッサーバンド幅/アクティブユーザカウント)に適した抽象レベルにおける測定機能を高めることで、クラウドシステムは自動的にリソース利用を制御し、最適化する。こうしたリソースの使用量については、利用されたサービスのプロバイダーと消費者から、透過的にモニター/コントロール/レポートされる。

●3つのサービスモデル
1)SaaS
このコンピューティングの能力は、クラウドインフラストラクチャ上で実行されるプロバイダーのアプリケーションを用いて、消費者に提供される。 そのアプリケーションは、 Web ブラウザ(Web メールなど)といったシンクライアントインターフェイスを介して、各種のクライアントデバイスからアクセスできる。消費者はネットワーク、サーバ、オペレーティングシステム、ストレージや、個別のアプリケーション機能さえも含めて、基礎となるクラウドインフラストラクチャの管理/制御は行わないが、個々のユーザに特定されるアプリケーションコンフィグレーションは例外となる。

2)PaaS
プロバイダーがサポートするプログラム言語とツールで作成したクラウドインフラストラクチャに、消費者が作成もしくは取得したアプリケーションをデプロイすることが、消費者に提供される機能となる。消費者はネットワーク、サーバ、オペレーティングシステム、ストレージなどの、基礎となるクラウドインフラストラクチャの管理/制御は行わないが、デプロイされたアプリケーションを制御し、また、そのホスティング環境をコンフィグレーションすることがある。

3)IaaS
オペレーティングシステムやアプリケーションを含む任意のソフトウェアを、消費者がデプロイ/実行することができる場所で、プロセッサ/ストレージ/ネットワーク/重要なコンピューティングリソースなどをプロビジョニングするための機能が、消費者に対して提供される。消費者は、基礎となるクラウドインフラストラクチャの管理/制御は行わないが、オペレーティングシステム/ストレージ/デプロイされたアプリケーションを制御し、また、選択された(ホスト、ファイアウォールなどの)ネットワークコンポーネントを限定的に制御する。

●4つのデプロイメントモデル
1)プライベートクラウド
このクラウドインフラストラクチャは、特定の組織のために単独で運用される。そして、当該組織あるいはサードパーティーにより管理され、オンプレミスあるいはオフプレミスで運用されるだろう。

2)コミュニティクラウド
このクラウドインフラストラクチャは、いくつかの組織により共有され、また、関心事(ミッション/セキュリティ要件/ポリシー/コンプライアンス)を共有する特定のコミュニティをサポートする。そして、当該組織あるいはサードパーティーにより管理され、オンプレミスあるいはオフプレミスで運用されるだろう。

3)パブリッククラウド
このクラウドインフラストラクチャは、不特定多数の人々や大規模な業界団体などに提供され、対象となるクラウドサービスを販売する組織により所有される。

4)ハイブリッドクラウド
このクラウドインフラストラクチャは、複数のクラウド定義(private/community/public)から、2 つ以上を組み合わせたものとなる。それぞれに固有の実体は保持するが、標準あるいや個別のテクノロジーによりバインドされ、データとアプリケーションのポータビリティ(クラウド間でのロードバランシングのためのクラウドバーストなど)を実現する。

※注:クラウドソフトウェアとは、ステートレス/疎結合/モジュール性/セマンティックインターオペラビリティを重視するサービス指向であることで、そのクラウドパラダイムの先進性を活用するものである。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*―

さて、クラウドを定義したところで、本題の「クラウドを名乗る条件」を視点に調査した結果をまとめる。プラットフォーム、すなわちサービス提供モデルの中のIaaSおよびPaaSの事業者についてそれぞれ分けて比較する。よくこれら2つのサービス提供モデルも混同されて「クラウド」と括られることも多いが、抽象化される対象が異なるため、中身は全く別物だ。

IaaS事業者
1)日本国内
日本国内の大手SIerのクラウドを見てみよう。まず、調べていて思うのは、どれも本当に売ってくれるのか、本当に動いているのかがわからない。「資料請求」や「お問い合わせ」のリンクしか見あたらない。なぜ「仮想マシンを作成する」ボタンがないのか?答えは、下表をご覧頂ければ一目瞭然。北川氏の指摘する、自動プロビジョニングの機能がないからだ。NISTの定義に照らし合わせても、オンデマンド・セルフサービス、迅速な伸縮性、測定されたサービスなどのクラウドの本質的な特徴を備えていないことがわかる。このタイプのIaaSは、発注してから利用できるようになるまで、少なくとも数日を要する。そして迅速な伸縮性を備えておらず、到底、クラウドと呼ぶことはできない。なお10月より提供開始を予定している富士通のオンデマンド仮想システムサービスは、本当のクラウドのようである。日立製作所は、IaaSを提供していない。

事業者
日立情報
NTTデータ
富士通
NEC
日本IBM
サービス名称
Business Stage ROD
BizXaaS インフラサービス
オンデマンド仮想システムサービス*1
RIACUBE
マネージドクラウドコンピューティングサービス
北川氏
仮想化
○ VMware
○ VMware
○ VMware
○ MCCS
自動プロビジョニング
×
×
×
×
NIST
オンデマンド・セルフサービス
×
×
×
×
広帯域のネットワークアクセス
×
リソース・プール
迅速な伸縮性
×
×
×
測定されたサービス
×
×
×

*1: 2010年10月提供開始予定。

一方、レンタルサーバ事業者やホスティング事業者などは、古くからパーティショニング技術を活用して仮想専用サーバ(Virtual Private Server; VPS)を提供してきた。その延長線上で提供されるIaaSサービスもあり、サーバやストレージの大きさによって複数のメニューを数個用意しておいて、ユーザに選ばせる。これらは残念ながら月額課金のものばかりで、即日利用、即日破棄などはできそうにない。例えば、さくらインターネット「VPS」、IDC Frontier「NOAHプラットフォームサービス」、IIJ「GIO コンポーネントサービス」、伊藤忠テクノソリューションズ「TechnoCUVIC」などがある。

そんな中でも、ニフティが提供する「ニフティクラウド」は、正真正銘のIaaS、パブリッククラウドサービスだ。時間単位の課金に対応し、ニフティ法人IDさえ持っていれば、即時利用可能だ。

KDDIの「クラウドサーバサービス」は、IaaSとPaaSの中間に分類できるサービスだ。よく利用されるサーバ(Web 3層、LAMPスタック、その他のミドルウェアやロードバランサなど)が仮想アプライアンスとして既に用意されており、ユーザは専用の管理アプリケーションを使ってドラッグ&ドロップでシステム構成を自由に変更できる。月額課金ではあるが、自動プロビジョニング機能を備え、オンデマンド・セルフサービスを実現している。

[参考資料]
・日立情報システムズ Business Stage ROD
http://www.server-outsourcing.jp/os/services/resource/

・NTTデータ BizXaaS インフラサービス
http://www.ps.nttdcloud.jp/service/platform/infra.html

・富士通 オンデマンド仮想システムサービス
http://www.nec.co.jp/press/ja/0805/2601.html

・日本IBM マネージド・クラウド・コンピューティング・サービス
http://vps.sakura.ad.jp/

・IDC Frontier NOAHプラットフォームサービス
http://www.idcf.jp/services/hosting/noah_p/platform.html

・IIJ GIOコンポーネントサービス
http://www.iij.ad.jp/GIO/service/component/

・伊藤忠テクノソリューションズ TechnoCUVIC
http://www.ctc-g.co.jp/solutions/dc/Solution/cloud_02.html

・ニフティ ニフティクラウド
http://cloud.nifty.com/

・KDDI クラウドサーバサービス
http://www.kddi.com/business/cloud/

2)米国
次に、米国のIaaS事業者を見てみよう。ここに紹介したIaaS事業者はすべて、自動プロビジョニング機能を備えており、NISTの定義に照らしてもクラウドと呼べるサービスを提供している。

事業者
Amazon Web Service
Rackspace
Terremark
SAVVIS
AT&T
IBM
サービス名称
EC2/S3
Rackspace Cloud
vCloud Express
Symphony VPDC
Cloud Services
Cloud *2
北川氏
仮想化
○ Xen, RHEV
○ VMware
○ VMware
○ VMware, RHEV
○ VMware
○ RHEV
自動プロビジョニング
NIST
オンデマンド・セルフサービス
広帯域のネットワークアクセス
リソース・プール
迅速な伸縮性
測定されたサービス

*2: 提供開始日未定。

[参考資料]
・Amazon Web Service EC2/S3
http://aws.amazon.com/jp/s3/

・Rackspace Rackspace Cloud
http://www.rackspacecloud.com/

・Terremark vCloud Express
http://www.savvisknowscloud.com/

・AT&T Cloud Services
http://www.redhat.com/solutions/cloud/partners/

PaaS事業者
さて、PaaSにおいては、プラットフォーム以下が抽象化されるため、明確に「仮想化」や「自動プロビジョニング」の機能を備えていると謳われていないことが多い。そのため、PaaS事業者の比較においては、「仮想化や自動プロビジョニングの機能を備えていれば当然実現できるであろう尺度」を用いる。それは、ユーザがそのサービスを使うことを決定してから、実際に利用開始できるようになるまでの時間である。

1)日本国内
日本国内でPaaSを提供していると見受けられるのは、富士通、日立製作所の2社だけである。NECはPaaSを提供していない。そして、利用開始までの時間に注目いただきたい。各社とも「ご相談」になっている。
事業者
富士通
日立
サービス名称
SaaSアプリケーションプラットフォームサービス
Harmonious Cloud PaaS
利用開始までの時間
ご相談
ご相談


[参考資料]
・富士通 SaaSアプリケーションプラットフォームサービス
http://fenics.fujitsu.com/outsourcingservice/saas/appli-plat/

・日立製作所 Harmonious Cloud PaaS
http://www.hitachi.co.jp/products/it/harmonious/cloud/solution/paas.html

2)米国
米国でもPaaSを提供している事業者は限られている。高い技術力と優秀なソフトウェアエンジニアを多数抱える企業ばかりである。利用開始までの時間をご覧いただきたい。どこかの事業者で「ご相談」している間に、アプリケーションのデプロイが完了してしまう。一方、最もエンタープライズに普及しているアプリケーションプラットフォーム「JBoss」を抱えるRed Hatは、Microsoftのように自社でPaaSを提供する気配はない。おそらくIaaSを提供するデータセンタ事業者とパートナーを組んで対抗する構えだが、同じ戦略のVMwareに一歩も二歩も出遅れている。

事業者
Google
Salesforce.com
VMware & Salesforce.com
Microsoft
サービス名称
Google App Engine
Force.com
VMforce *3
Windows Azure
利用開始までの時間
即時
即時
即時
即時


*3: 2010年秋にデベロッパプレビュー版公開予定。

[参考資料]
・Google Google App Engine
http://code.google.com/intl/ja/appengine/

・Salesforce.com Force.com
・VMware & Salesforce.com VMforce
http://www.vmforce.com/

・Microsoft Windows Azure
まとめ
以上、「クラウドを名乗る条件」という視点から、日本国内および米国のクラウド事業者を調査、比較してきた。こうやって見てみると、IDCやForresterなどが公表している日本のクラウド市場規模の数字は、当てにならない気がしてくる。各事業者が、クラウドというキーワードでごちゃ混ぜにして数字を積み上げている可能性があるからだ。例えば、VMwareを使った顧客IT資産の仮想化統合のSE費やハードウェア費を「プライベートクラウド構築事業」としたり、あるいは従来のASPを「クラウド型サービス」や「SaaS」としたりして、国内クラウド市場規模の数字に組み込んでいるのではないだろうか。そうこうしているうちに、IaaSはともかく、PaaSも米国のサービス事業者にごっそり持って行かれる予感がしてならない。