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1/05/2011

ソーシャルアドレス帳

Posterousに投稿したけど、こっちにまとめとく。自分メモ。

ソーシャルアドレス帳っていうのは、僕の造語(だと思う)なんだけど、ユーザ主導で構築された、世界でひとつの大きなアドレス帳のこと。 

これまでのアドレス帳は、その所有者がメモってたり、あるいはタウンページみたいな電話帳だったわけです。最近では携帯電話の中に収まってたりしますが。でもこんなことしちゃうと、携帯電話買い換えたり、引っ越したり、メールアドレス変えたり、これまた最近だとTwitterやSNSのアカウント名変えたりすると、アドレス帳の情報は明示的に書き換えるまでずっと古いままになってしまうのです。そのため、そういうアドレス帳に記載されている情報に変更があった人が、それを教えたであろう人にお知らせするわけです。ぶっちゃけ、めんどくさい。 

もうひとつ云えば、一度手から離れた情報は、回収できないのです。アドレス帳に載せる情報なんてのは思いっきり個人情報なのに、セキュリティ管理のレベルがまちまちなお友達やご知人たちにそれを渡すのはどうかと思うし、一旦教えてしまったけど、後になって失敗したなぁとか思うこともあるかもしれないでしょう(笑)。 

そこで、ソーシャルアドレス帳です。じゃーん。自分の情報は自分でアップデートして、その情報にアクセスできる人を「設定」すればいい。もちろん、変更した情報は通知したりされたりする必要なんてなく、WebブラウザからとアプリからRESTなAPI経由で突っつけるようにしといて、常に最新の情報が取れるようにしとけばいい。SNSなどのプロフィールも、ここから取ってくればいい。利用者はいちいち複数のサイトのプロフィールを書き換える必要はない。各サイトで記載する情報を変えたい場合は、サイトに応じて出す情報を管理(設定)できるようにしておけばいい。 

そしてさらに、認証基盤としても動作させられるようにしたい。せっかくアイデンティティ情報を握ってるんだから、認証もここでやりたい。まずは普及してるOpen IDから対応させる。将来的には、是非、「事実上の」国民IDとして活用してもらいたいね。小国は国民IDとして採用するところも出てくるかもしれない。 

チャレンジなところは、普及の方法でしょう。現在広く使われている「サイロ」なやり方が競争相手。紙のやつに対してはPCからWebで見てもらうか、あるいは電子書籍版を出せばあとは時間が解決してくれそうだし、iPhoneやAndroidはアプリを作ってうまいこと電話やSNSアプリなどと連携させられれば素敵なんだけど、問題は旧式の携帯電話に入ってるやつでしょう。ネイティブの電話帳アプリしか使えないのも多い。ここは最後に手をつけるという作戦にするなら、もうちょっとスマートフォンが普及して「これいいじゃん」って言ってもらえる時代に出せるように、世の中に出すタイミングを図ることだな。 

僕の読みだと、そろそろ顔出しを初めてもいい頃合い。でなければ、僕が作ろうかな。だって、僕が一番使いたいもん。

マネタイズの話が抜けてたね。利用者は無料が当然でしょう。お金は、まずSNSなどのソーシャル系サービス運営会社からいただきます。彼らにとっては、ユーザを獲得する手段になるはず。

次に、企業向けサービスをやって、そこからもいただきます。ひとつは社員向け。企業からみたら、社員の情報を管理したいと思うはず。そういう企業向けの専用ポータルや専用グループの作成や、LDAPで管理されるような部署や役職の管理、パスワードポリシなんかの機能があれば、たぶん欲しいんじゃないかと思う。

ふたつめは、企業の顧客向け。例えばB2CのEコマースなんかだと、顧客の個人情報を管理するのは、はっきりいってリスク以外の何者でもない。なんだかんだいっても個人情報漏洩は嫌でしょう(笑)。そうは言っても、顧客の個人情報がなければ、商品を送れないし、連絡もできない。だから、ソーシャルアドレス帳から引っ張ってくれば、自社で管理する必要がなくなるというわけです。これもたぶん売れる。

各SNSや企業に個人情報を提供するか否かは、ソーシャルアドレス帳の利用者各々が管理(設定)すればいい。そしてもちろん、Default Deny(設定されていなければ提供しない)が、ネットワーク屋さんのルールですね。

そういえば去年の暮、Haas Schoolの先生に同じ話をしたら、同じようなことを考えている人がいると言ってたな。コンタクトするかどうかは迷うな。敵かな?味方かな?(エキセントリック少年ボウイ)

9/29/2010

クラウド事業者と名乗るための最低条件?

2010年9月27日の日経産業新聞3面に、日経BPの北川氏による「クラウド市場、過大評価?」という記事の中で、「クラウドの最低条件である仮想化とプロビジョニングがそろってからクラウド企業を名乗るべきだ」という内容の記述があった。おそらくパブリッククラウドのIaaSまたはPaaS事業者を対象にしたものと思われるが、果たして本当だろうか?

僕の個人的な意見を述べさせて頂くとすると、半分賛成、半分反対だ。例えば、クラウドという言葉を作ったGoogleは、仮想化技術を使っていない。冒頭の文言に従えば、Googleはクラウド企業を名乗るべきではない、というおかしなことになってしまう。

[参考資料] Channel Register "Google abstains from blades, VMware and the rest of the hype"
http://www.channelregister.co.uk/2007/06/25/google_barroso_datacenter/

一方で、日本のIT業界はクラウドというキーワードを非常に広義な意味でとらえ、商売のための言葉、いわゆる「バズワード」にしてしまった感も否めない。未だに「インターネットを介してサービスを提供していればクラウド」などと真面目に語られると、こちらが赤面してしまう。したがって、何でもかんでもクラウドと呼んで欲しくない気持ちもよくわかる。

そこで本稿では、まず米国で一般的なNIST (National Institute of Standards and Technology) によるクラウドの定義を紹介し、次に日本および米国におけるクラウド事業者、特にプラットフォームを提供するサービス事業者について、「クラウドを名乗る条件」という視点から調査、比較した結果をまとめる。

クラウドの定義
まずクラウドの定義についてまとめておく。米国は、NISTの定義が業界標準になったと言ってよいだろう。NISTの定義は、5つの本質的な特徴、3つのサービスモデル、4つのデプロイメントモデルで構成されている。以下にその日本語訳を掲載する。日本語訳はAgile Cat氏のブログを抜粋し、一部を改変して掲載している。

[参考資料] Agile Cat氏ブログ 「とても重要なNISTのクラウド定義:対訳」
本稿もこのNISTによるクラウドの定義に則って記載するが、ここで注意していただきたいのは、NISTの定義では仮想化をクラウドの必要条件にしておらず、あくまで例として記載している点だ。

●5つの本質的な特徴
1)オンデマンド・セルフサービス
それぞれのサービスプロバイダーとの人的な対話に依存することなく、消費者は必要に応じて自動的かつ一方的に、サーバやネットワーク、ストレージの利用時間といった、コンピューティングの能力をプロビジョニングする。

2)広帯域のネットワークアクセス
このコンピューティング能力は、ネットワーク上で利用でき、また、標準的なメカニズムを介してアクセスできる。それにより、各種のシン/シック クライアントプラットフォーム(モバイルフォン/ラップトップ/ PDA)からの利用が促進される。

3)リソース・プール
プロバイダーがコンピューティングリソースは共有され、マルチテナントモデルを利用する多数の消費者に提供される。そこでは、消費者からの需要にしたがって動的に割当/解消される、物理的あるいは仮想的なリソースを用いられる。一般的に、そこで供給されるリソースの正確な位置を、顧客が制御/知覚することはない。そのため、ロケーションから独立した感覚があるが、より高い抽象レベル(国/州/DC)においてロケーションは特定されるかもしれない。こうしたリソースの例としては、ストレージ/プロセッサ/メモリ/ネットワーク帯域幅/仮想マシンなどが含まれる。

4)迅速な伸縮性
コンピューティング能力のプロビジョニングは、迅速で伸縮性のあるものになる。そして、いくつかのケースでは自動的に、スケールアウトの際に拡大し、また、スケールインの際に縮小する。消費者にとって、このプロビジョニン能力は無限に追加できるものになり、また、従量制で購入できるものとなる。

5)(適切に)測定されたサービス
サービスの種類(ストレージ/プロセッサーバンド幅/アクティブユーザカウント)に適した抽象レベルにおける測定機能を高めることで、クラウドシステムは自動的にリソース利用を制御し、最適化する。こうしたリソースの使用量については、利用されたサービスのプロバイダーと消費者から、透過的にモニター/コントロール/レポートされる。

●3つのサービスモデル
1)SaaS
このコンピューティングの能力は、クラウドインフラストラクチャ上で実行されるプロバイダーのアプリケーションを用いて、消費者に提供される。 そのアプリケーションは、 Web ブラウザ(Web メールなど)といったシンクライアントインターフェイスを介して、各種のクライアントデバイスからアクセスできる。消費者はネットワーク、サーバ、オペレーティングシステム、ストレージや、個別のアプリケーション機能さえも含めて、基礎となるクラウドインフラストラクチャの管理/制御は行わないが、個々のユーザに特定されるアプリケーションコンフィグレーションは例外となる。

2)PaaS
プロバイダーがサポートするプログラム言語とツールで作成したクラウドインフラストラクチャに、消費者が作成もしくは取得したアプリケーションをデプロイすることが、消費者に提供される機能となる。消費者はネットワーク、サーバ、オペレーティングシステム、ストレージなどの、基礎となるクラウドインフラストラクチャの管理/制御は行わないが、デプロイされたアプリケーションを制御し、また、そのホスティング環境をコンフィグレーションすることがある。

3)IaaS
オペレーティングシステムやアプリケーションを含む任意のソフトウェアを、消費者がデプロイ/実行することができる場所で、プロセッサ/ストレージ/ネットワーク/重要なコンピューティングリソースなどをプロビジョニングするための機能が、消費者に対して提供される。消費者は、基礎となるクラウドインフラストラクチャの管理/制御は行わないが、オペレーティングシステム/ストレージ/デプロイされたアプリケーションを制御し、また、選択された(ホスト、ファイアウォールなどの)ネットワークコンポーネントを限定的に制御する。

●4つのデプロイメントモデル
1)プライベートクラウド
このクラウドインフラストラクチャは、特定の組織のために単独で運用される。そして、当該組織あるいはサードパーティーにより管理され、オンプレミスあるいはオフプレミスで運用されるだろう。

2)コミュニティクラウド
このクラウドインフラストラクチャは、いくつかの組織により共有され、また、関心事(ミッション/セキュリティ要件/ポリシー/コンプライアンス)を共有する特定のコミュニティをサポートする。そして、当該組織あるいはサードパーティーにより管理され、オンプレミスあるいはオフプレミスで運用されるだろう。

3)パブリッククラウド
このクラウドインフラストラクチャは、不特定多数の人々や大規模な業界団体などに提供され、対象となるクラウドサービスを販売する組織により所有される。

4)ハイブリッドクラウド
このクラウドインフラストラクチャは、複数のクラウド定義(private/community/public)から、2 つ以上を組み合わせたものとなる。それぞれに固有の実体は保持するが、標準あるいや個別のテクノロジーによりバインドされ、データとアプリケーションのポータビリティ(クラウド間でのロードバランシングのためのクラウドバーストなど)を実現する。

※注:クラウドソフトウェアとは、ステートレス/疎結合/モジュール性/セマンティックインターオペラビリティを重視するサービス指向であることで、そのクラウドパラダイムの先進性を活用するものである。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*―

さて、クラウドを定義したところで、本題の「クラウドを名乗る条件」を視点に調査した結果をまとめる。プラットフォーム、すなわちサービス提供モデルの中のIaaSおよびPaaSの事業者についてそれぞれ分けて比較する。よくこれら2つのサービス提供モデルも混同されて「クラウド」と括られることも多いが、抽象化される対象が異なるため、中身は全く別物だ。

IaaS事業者
1)日本国内
日本国内の大手SIerのクラウドを見てみよう。まず、調べていて思うのは、どれも本当に売ってくれるのか、本当に動いているのかがわからない。「資料請求」や「お問い合わせ」のリンクしか見あたらない。なぜ「仮想マシンを作成する」ボタンがないのか?答えは、下表をご覧頂ければ一目瞭然。北川氏の指摘する、自動プロビジョニングの機能がないからだ。NISTの定義に照らし合わせても、オンデマンド・セルフサービス、迅速な伸縮性、測定されたサービスなどのクラウドの本質的な特徴を備えていないことがわかる。このタイプのIaaSは、発注してから利用できるようになるまで、少なくとも数日を要する。そして迅速な伸縮性を備えておらず、到底、クラウドと呼ぶことはできない。なお10月より提供開始を予定している富士通のオンデマンド仮想システムサービスは、本当のクラウドのようである。日立製作所は、IaaSを提供していない。

事業者
日立情報
NTTデータ
富士通
NEC
日本IBM
サービス名称
Business Stage ROD
BizXaaS インフラサービス
オンデマンド仮想システムサービス*1
RIACUBE
マネージドクラウドコンピューティングサービス
北川氏
仮想化
○ VMware
○ VMware
○ VMware
○ MCCS
自動プロビジョニング
×
×
×
×
NIST
オンデマンド・セルフサービス
×
×
×
×
広帯域のネットワークアクセス
×
リソース・プール
迅速な伸縮性
×
×
×
測定されたサービス
×
×
×

*1: 2010年10月提供開始予定。

一方、レンタルサーバ事業者やホスティング事業者などは、古くからパーティショニング技術を活用して仮想専用サーバ(Virtual Private Server; VPS)を提供してきた。その延長線上で提供されるIaaSサービスもあり、サーバやストレージの大きさによって複数のメニューを数個用意しておいて、ユーザに選ばせる。これらは残念ながら月額課金のものばかりで、即日利用、即日破棄などはできそうにない。例えば、さくらインターネット「VPS」、IDC Frontier「NOAHプラットフォームサービス」、IIJ「GIO コンポーネントサービス」、伊藤忠テクノソリューションズ「TechnoCUVIC」などがある。

そんな中でも、ニフティが提供する「ニフティクラウド」は、正真正銘のIaaS、パブリッククラウドサービスだ。時間単位の課金に対応し、ニフティ法人IDさえ持っていれば、即時利用可能だ。

KDDIの「クラウドサーバサービス」は、IaaSとPaaSの中間に分類できるサービスだ。よく利用されるサーバ(Web 3層、LAMPスタック、その他のミドルウェアやロードバランサなど)が仮想アプライアンスとして既に用意されており、ユーザは専用の管理アプリケーションを使ってドラッグ&ドロップでシステム構成を自由に変更できる。月額課金ではあるが、自動プロビジョニング機能を備え、オンデマンド・セルフサービスを実現している。

[参考資料]
・日立情報システムズ Business Stage ROD
http://www.server-outsourcing.jp/os/services/resource/

・NTTデータ BizXaaS インフラサービス
http://www.ps.nttdcloud.jp/service/platform/infra.html

・富士通 オンデマンド仮想システムサービス
http://www.nec.co.jp/press/ja/0805/2601.html

・日本IBM マネージド・クラウド・コンピューティング・サービス
http://vps.sakura.ad.jp/

・IDC Frontier NOAHプラットフォームサービス
http://www.idcf.jp/services/hosting/noah_p/platform.html

・IIJ GIOコンポーネントサービス
http://www.iij.ad.jp/GIO/service/component/

・伊藤忠テクノソリューションズ TechnoCUVIC
http://www.ctc-g.co.jp/solutions/dc/Solution/cloud_02.html

・ニフティ ニフティクラウド
http://cloud.nifty.com/

・KDDI クラウドサーバサービス
http://www.kddi.com/business/cloud/

2)米国
次に、米国のIaaS事業者を見てみよう。ここに紹介したIaaS事業者はすべて、自動プロビジョニング機能を備えており、NISTの定義に照らしてもクラウドと呼べるサービスを提供している。

事業者
Amazon Web Service
Rackspace
Terremark
SAVVIS
AT&T
IBM
サービス名称
EC2/S3
Rackspace Cloud
vCloud Express
Symphony VPDC
Cloud Services
Cloud *2
北川氏
仮想化
○ Xen, RHEV
○ VMware
○ VMware
○ VMware, RHEV
○ VMware
○ RHEV
自動プロビジョニング
NIST
オンデマンド・セルフサービス
広帯域のネットワークアクセス
リソース・プール
迅速な伸縮性
測定されたサービス

*2: 提供開始日未定。

[参考資料]
・Amazon Web Service EC2/S3
http://aws.amazon.com/jp/s3/

・Rackspace Rackspace Cloud
http://www.rackspacecloud.com/

・Terremark vCloud Express
http://www.savvisknowscloud.com/

・AT&T Cloud Services
http://www.redhat.com/solutions/cloud/partners/

PaaS事業者
さて、PaaSにおいては、プラットフォーム以下が抽象化されるため、明確に「仮想化」や「自動プロビジョニング」の機能を備えていると謳われていないことが多い。そのため、PaaS事業者の比較においては、「仮想化や自動プロビジョニングの機能を備えていれば当然実現できるであろう尺度」を用いる。それは、ユーザがそのサービスを使うことを決定してから、実際に利用開始できるようになるまでの時間である。

1)日本国内
日本国内でPaaSを提供していると見受けられるのは、富士通、日立製作所の2社だけである。NECはPaaSを提供していない。そして、利用開始までの時間に注目いただきたい。各社とも「ご相談」になっている。
事業者
富士通
日立
サービス名称
SaaSアプリケーションプラットフォームサービス
Harmonious Cloud PaaS
利用開始までの時間
ご相談
ご相談


[参考資料]
・富士通 SaaSアプリケーションプラットフォームサービス
http://fenics.fujitsu.com/outsourcingservice/saas/appli-plat/

・日立製作所 Harmonious Cloud PaaS
http://www.hitachi.co.jp/products/it/harmonious/cloud/solution/paas.html

2)米国
米国でもPaaSを提供している事業者は限られている。高い技術力と優秀なソフトウェアエンジニアを多数抱える企業ばかりである。利用開始までの時間をご覧いただきたい。どこかの事業者で「ご相談」している間に、アプリケーションのデプロイが完了してしまう。一方、最もエンタープライズに普及しているアプリケーションプラットフォーム「JBoss」を抱えるRed Hatは、Microsoftのように自社でPaaSを提供する気配はない。おそらくIaaSを提供するデータセンタ事業者とパートナーを組んで対抗する構えだが、同じ戦略のVMwareに一歩も二歩も出遅れている。

事業者
Google
Salesforce.com
VMware & Salesforce.com
Microsoft
サービス名称
Google App Engine
Force.com
VMforce *3
Windows Azure
利用開始までの時間
即時
即時
即時
即時


*3: 2010年秋にデベロッパプレビュー版公開予定。

[参考資料]
・Google Google App Engine
http://code.google.com/intl/ja/appengine/

・Salesforce.com Force.com
・VMware & Salesforce.com VMforce
http://www.vmforce.com/

・Microsoft Windows Azure
まとめ
以上、「クラウドを名乗る条件」という視点から、日本国内および米国のクラウド事業者を調査、比較してきた。こうやって見てみると、IDCやForresterなどが公表している日本のクラウド市場規模の数字は、当てにならない気がしてくる。各事業者が、クラウドというキーワードでごちゃ混ぜにして数字を積み上げている可能性があるからだ。例えば、VMwareを使った顧客IT資産の仮想化統合のSE費やハードウェア費を「プライベートクラウド構築事業」としたり、あるいは従来のASPを「クラウド型サービス」や「SaaS」としたりして、国内クラウド市場規模の数字に組み込んでいるのではないだろうか。そうこうしているうちに、IaaSはともかく、PaaSも米国のサービス事業者にごっそり持って行かれる予感がしてならない。

9/07/2010

VMworld 2010 についてのまとめ

2004年に初めて開催されたVMworldは今年で7回目を迎え、参加者は約17,000人になった。そのためか、今年はセッションを事前に予約することができなくなっており、ほとんどのセッションでは最低30分は列に並ばないとセッション会場に入場させてもらえない状況であった。実際に前のセッションが終わった時点で次のセッションはすでに定員に十分な列 ができており、並ぶことさえ断られたセッションもいくつかあった。また他のカンファレンスなどでも同様だが、パートナーが主催のセッションは魅力的な タイトルであっても⾃社製品の宣伝が中心になっており、得られるものはほとんどない。次回参加する機会があれば、 VMware主催のセッションか、アナリストのセッションを中心に選択したい。

さて、去年からおぼろげにクラウドプラットフォームを提供する企業へと変革する道筋が見えていたが、今年になってVMwareがクラウドプラットフォームを提供するのに不足していたピースを埋めてきたということが世の中に知れ渡り、VMwareにとっても今年のVMworldは⼤きな転換点となったはずだ。

VMwareのIT as a Serviceのためのスタック


まずインフラの話では、IntegrienとTriCipherの買収を⾏うことを発表した。Integrienは データセンタの性能分析、TriCipherはSaaSアプリケーションのためのアイデンティフェデレーションの会社。いずれも2010年Q4に買収が完了する見込みだ。

プラットフォームについては、昨年 Spring Source(および付属するCloud FoundryとHyperic)の買収、今年に入ってからは Salesforce.comとの提携による「VMforce」、SUSE Linuxとの提携による仮想アプライアンスを発表し、開発プラットフォームとOSがVMwareファミリに加わったことで、VMwareはインフラよりも上にも⼿を出すのか、と騒がれていた。そして今回はそれらを統合するvFabricを発表した。 vFabricはSpringフレームワーク、アプリケーションサーバのtcServer、分散データソフト GemStone、メッセージングサービスRabbitMQ、ロードバランサERS、アプリケーションパフォーマンス管理Hypericの集合体だ。vFabricではJavaだけでなく、Ruby on RailsやPHPなどの他の開発言語にも対応していく。

そして最後、エンドユーザアクセスのために、VMware Viewと呼ばれるデスクトップ仮想化とその管理・配信のためのアーキテクチャの最新版、VMware View 4.5をリリースし、オフラインでも仮想デスクトップが利用できるようになった。これらVMware製品ファミリで目指すものは「IT as a Service」だ。これまでの仮想化がITリソースを⽣産することに対する最適化だったのに対して、これからは「ITを使っていかに迅速にビジネスバリューを生み出すか」にあるのだ。

8/15/2010

「非IT屋」が提供するクラウドサービス

今年2010年4月、Bank of AmericaがSaaSアプリケーションのマーケットプレイスの提供を始めた。Bank of Americaは銀行であり、いわゆる「IT屋」ではない。このような「非IT屋」が提供するSaaSやPaaSについて調べてみたので、3つほど例を紹介する。なお、彼らはこれらのサービスで直接利益を得る気はなく、顧客ロイヤリティ向上のためにサービスを提供しているようだ。

●Bank of Americaの「MyBusiness Center Solutions Store」
Bank of Americaは、今年2010年4月から「MyBusiness Center Solutions Store」と呼ばれるSaaSアプリケーションのマーケットプレイスを提供している。中身はSugerCRM、Google Apps、WordPress、Microsoft Hosted Exchangeなどの他社SaaSアプリの再販サイトで、直販に比べて特別な値引きなどはない。またこのマーケットプレイスを経由して他社SaaSと顧客との取引が成立したとしても、いわゆるアフィリエイト中間マージンなどを取らないため、Bank of Americaには金銭的な利益は全くない。ただしBank of Americaの顧客であれば各SaaSベンダと個別に契約をしなくても、ショッピングカートに入れて支払いを済ませれば、Bank of AmericaのオンラインバンキングのIDとパスワードを使って様々なSaaSアプリを利用することができる。顧客が便利になるため、Bank of Americaの顧客であることのロイヤリティが高まる、というわけだ。このアイデアはコンサルティング会社THINKstrategiesの提案で、システムはTHINKstrategiesのシステム開発パートナーRenovatrix SolutionsによってEtelosのPaaSを使って構築されたもの。なお、EtelosはSaaSアプリケーション開発のためのプラットフォームを提供するPaaSを開発・販売する中堅のソフトウェア開発の会社だ。
もともと2000年からBank of Americaは顧客向けに、会計管理のWebサービス(支払、融資、電信送金、購買など)を提供していた。これは当時スタートアップだったWeb系ソフト開発会社のAribaが構築したものだ。なおAribaは現在、企業向けSaaSアプリケーションプロバイダとして事業展開している。

[参考]
Bank of America Corporation - MyBusiness Center Solutions Store
http://www.mybusinesssolutionsstore.com/

THINKstrategies, LLC
http://www.thinkstrategies.com/

Etelos, Inc.
http://www.etelos.com/

Ariba, Inc.
http://www.ariba.com/

●米国公認会計士協会の「AICPA Store」
American Institute of Certified Public Accountants (AICPA; 米国公認会計士協会)は、現在約35万人の公認会計士が所属する巨大な組織だ。2009年4月、AICPAとその子会社CPA2Bizおよびオンライン会計アプリ開発のIntacctは、中小企業のための会計業務のパフォーマンス改善にクラウドコンピューティングを取り入れようと、公認会計士に特化したオンデマンド会計管理アプリおよび財務管理アプリの共同開発を行うことを発表した。AICPAはIntacctを推奨する会計アプリケーションプロバイダに指定し、同時にCPA2BizをIntacctの推奨販売店に指定。完成したSaaSアプリケーションは、「AICPA Store」と呼ばれるCPA2Bizの運営するWebマーケットプレイスで販売される。AICPAの会員になっている公認会計士は、AICPA Storeを通してIntacctの提供するSaaSアプリを会員特価で購入することができる。AICPAとCPA2Bizは販売中間マージンは受け取らず、このサービスによって直接利益を出すことは考えていない。公認会計士がAICPA会員であることのロイヤリティの向上が目的だ。一方Intacctも、AICPAおよびCPA2Bizの会計ベストプラクティスに関するノウハウを学ぶこと、および「AICPA公認アプリ」というお墨付きをもらうことを目的としている。

[参考]
AICPA - AICPA Store
http://www.cpa2biz.com/

Intacct, Inc.
http://www.intacct.com/

●FedExの「FedEx Web Services」
FedExは主にEコマースサイトの開発者向けに、無料で「FedEx Web Services」と呼ばれるPaaSを提供している。配送伝票の発行、トラッキング、送料計算、住所の実在確認、返品集荷手配、オンラインプリントなど、FedExのデータセンタでホスティングされているシステムの様々な機能が利用でき、公開されたWebサービスAPIを介して自由に自社開発のEコマースサイトなどに組み込むことができる。通常、中小企業のマーケティング部門が自社のEコマースサイトを立ち上げたところで、商品の配送は従来のままの仕組みを使うケースは多い。しかし受注、配送手配、到達確認や返品処理など、意外と煩雑な業務がそのまま残ってしまうことになる。顧客はFedEx Web Servicesを使えば、ほとんど追加投資をすることなく、それらの面倒な処理をほぼ自動でかたづけることが可能になる。FedExとしても既にあるものを公開しただけであり、ほとんど追加投資をすることなく顧客ロイヤリティを向上させ、競合のUSPSやUPSとの競争力を高めることができるのだ。なお、このFedEx Web Servicesを含め、FedExのシステムはほぼ全てが自社開発である。

[参考]
FedEx, Inc. - FedEx Web Service
http://www.fedex.com/us/webservices/index.html

8/06/2010

ラーメン屋とクラウドコンピューティング

日本にはラーメンという優れた食文化があります。日本で最初にラーメンを食べたのは水戸黄門だ、とか、ラーメンの起源は明治時代に横浜や神戸の中華街で出てきた南京そばにある、とか諸説ありますが、いずれにせよ、最初のラーメンの麺は自家製で、手延べや手打ちだったそうです。そのうち繁盛してきて手打ちでは対応できなくなり、均一な麺の生産と効率化を求めて製麺機が登場しました。収益=単価×客数。ラーメンひとすじで勝負するなら、単価は期待できませんので、客数を増やすしかありません。

さて、日本のIT業界を見てみると、ネットベンチャー、ソフトウェア開発、システムインテグレータ(SIer)など様々な業種業態がありますが、「収益=単価×客数」でいえば「単価」が大きく「客数」が少ない商売が多かったのではないでしょうか。先日は内閣官房国家戦略室が、国民IDシステムの開発コストは6100億円、と発表していました。このようなプロジェクトが進められることになれば、入札を経てどこかの大手ITゼネコンがシステム開発を受注し、下請け、孫請け、又孫請け、などを含めて何千億円というシステム開発を、何年もかけてシコシコとやっていくことになります。その後、そのシステムの保守という名目で、年間何百億円がシステム運用を受託した会社に流れることになります。これまで、こうやってやってきたのです。まるで超高級フレンチレストラン、というよりオーダーメイドスーツやビスポークシューズの仕立屋さんでしょうか。

一方、クラウドコンピューティングの商売は、「単価」が小さく、「客数」が多い商売です。クラウドコンピューティングで供給されるサービスでは、まるで電気料金や携帯電話料金のように、サービスやリソースを使用した時間・回数・量に対していくら、という商売をやっています。例えば、今日現在、Amazon Web Service EC2のNorth VirginiaデータセンタにあるWindowsの一番小さい仮想マシンを1時間利用すると、$0.12かかります。日本円にして、約10円です。1万人が同時に使ったとしても、1時間でたったの10万円です。これって本当に儲かっているのでしょうか? ある試算によると、Amazon Web Service EC2は、1時間に$25,000(約212万円)以上の売上があるとのこと。数字の信憑性はともかく、Amazon Web Service EC2というのは、「単価」がめちゃくちゃ小さくて、「客数」がとてつもなく多い商売だということはわかっていただけると思います。

ところで、儲かっているラーメン屋というのは、コモディティの原料で商品を完成させています。コモディティというのは、「十分に市場に浸透していて安定供給され、安価に入手できるもの」をいいます。そこらへんのスーパーとか量販店で売っているような、ごくフツーの材料を安価に仕入れて、神業で加工し、すばらしいラーメンに仕上げて、お客様の満足を得るのです。逆に「超高級ドコドコ産の肉」やら「入手困難なんたら珍味入りの麺」なんていうのを使っていると、安定した仕入れが難しかったり、加工が難しかったりと、客数を増やすことができずに儲けることは極端に難しくなります。

じゃあ、クラウドコンピューティングの原料ってなんでしょう?僕がまず思いつくのは、インターネットです。インターネットというのは、すごいおおざっぱに言うと、ネットワーク機器によってつながれたたくさんのデータセンタと膨大な数のPCの集まりです。データセンタの外には変電装置、冷却装置などがあって、データセンタの中には空調、電源制御、バッテリーなんかの基本設備とラックが並んでいます。最近では、コンテナ型のデータセンタもありますが、具はだいたい同じです。さらにラックの中には、サーバ、ネットワーク機器(スイッチ、ルータ、ファイアウォール、UTPケーブル、光ケーブル)、ストレージなんかが収まっている。他にもちろんソフトウェアも必要でしょう。そういうのを想像します。今まではこれらのものは、そのへんの量販店で売っているものではなかったと思います。でもこれからは、こんなのが具になるんじゃないかと思っています。




まあさすがに全部画面がついててもアレなんで、形としてはこんなのかもしれません。




学生時代を思い出しますね!

そんなことを言っても、客数はせいぜい60億人ぐらいが限界じゃないか、という人もいるかも知れません。クラウドコンピューティングの客は、人だけじゃないんです。一番大きな客は、たぶんセンサーだと思います。この分野は、センサーネットワーク(Sensor Network)やモノのインターネット(Internet of Things; IoT)などと呼ばれています。中国の无锡(WuXi)という街では、センサーネットワークというキーワードで集まった企業集団が、着々と研究を進めているそうです。

もしご興味があれば。
http://www.nacsa.com/archives/files/wuxi_event_20100526.pdf

あーやばい、一風堂のラーメンが食べたい。白丸バリカタで。

6/24/2010

Red Hat Summit 2010 まとめ

Red Hat Summit 2010の基調講演の内容をまとめておく。

Jim Whitehurst氏 (Chairman and CEO) が登場。

Red Hatのミッションは、「よりよい技術をオープンソースのやり方で提供することで、コミュニティ、パートナー、コントリビュータ、顧客などの触媒となること」だ。みなさんにはこのすばらしい機会に、クラウドの方向性、オープンソースの方向性などを議論いただき、さまざまなフィードバックをいただけたらありがたい。

●基本的なパラダイムシフト
いま、技術に大きな変化が起きている。HTML5、モバイルコンピューティング、コラボレーション、そうした変化の中でも最大のものがクラウドだ。根本的なパラダイムシフトが起きている。いま起きている事は、機能の向上とコストの低下だ。ムーアの法則のとおりCPUは高速化すると同時にCPUサイクルあたりのコストは下がり、磁気ディスクは大容量化と同時に低価格化し、ファイバケーブルも容量増大と低価格化が続く。ではなぜ世の中のCIOたちは「俺はこれまでずっと新機能を提供しながらコストを下げ続けた!俺はヒーローだ!」と言わないのか?なぜなら、現実はこれらの法則とはものすごく違うからだ。実際のIT予算は増大するし、要求される企業ITの機能のレベルも常に最高のものを求められる。現在、その膨れあがった企業のIT予算は、世界全体で約1.3兆ドルと言われている。

問題はどこにあるのか?ユーザの期待するITのレベルが上がり続けているのだ。20年前、平均的なユーザが最良のIT体験をしていたのは会社のオフィスだった。いまはそれが家庭になったのだ。iTunes、Google、Twitter、Facebookなどがそれだ。企業ITのユーザは、現在、家庭と同じようなIT体験をオフィスに期待している。あるCIOは自分の最大の相手はGoogleだという。

●いまITがイノベーションを提供できない3つの理由
先日、私はCMOとCIOを呼んで、我が社のマーケティング部門にワールドワイドで情報共有をやってうまくコラボレーションさせられないか?と訪ねた。その後すぐに彼らは専門のプロジェクトチームを立ち上げて議論をし、数週間後に案を作って私のところに持ってきた。実現予定の機能のリストと一緒に、コラボレーション基盤の構築に9ヶ月、1,400万ドルかかる、ということだった。私は激怒した。一体、何を言っているのだ? 私には高校生の娘がいるが、学校の理科のプロジェクトでGoogle Docsを使って情報共有しているし、コラボレーションを実現している。しかも、無料で。これは本当の話だ。Google Docsは無料、Facebookも無料、Twitterも無料。なぜ企業のITはこのレベルに達しないのか?なぜITはイノベーションを提供できなくなってしまったのか?

それには3つの理由がある。

第一に、ソフトウェア会社のビジネスモデルは根本から崩壊してしまったのだ。まず、ハードウェアが速くなるよりも早く、ソフトウェアが遅くなってしまった。数年前に行われたRandall Kennedy氏の有名な研究があるのだが、2007年当時の一般的なスペックのハードウェアで動かしたMicrosoft Office 2007と、2000年当時の一般的なスペックのハードウェアで動かしたMicrosoft Office 2000で、基本的な操作の速度を比較したところ、Office 2007のほうが40%も遅いという結果になったそうだ。何かがおかしいと思わないか?

また別の数字を示そう。ある調査によると、20%のユーザが80%の機能を使っているが、80%のユーザは全体の機能の20%しか利用していない。また別の調査は、我々がCIOを対象として行ったもので、3週間に1回以上、望みもしないソフトウェアのアップグレードを行ったことがあるか?という質問に、全員がYesと回答した。アップグレードしないと、ベンダがサポートしないというのが理由だ。ユーザが望みもしない機能をつけてソフトウェアのライセンスを売る、というビジネスモデルは崩壊したのだ。
ユーザをロックインするソフトウェアライセンス販売モデルは、普通じゃなくなった。Red HatはRed Hat Enterprise Linuxを販売してから8年になるが、これまで一度も価格を変更したことはない。世界の企業は、年間約2,000億ドルをソフトウェアに使っている。

第二に、複雑さだ。新機能を追加するためのシステム開発コストは、膨大だ。遠い昔、私がボストンコンサルティンググループにいた頃、顧客IT戦略のプロジェクトに新しく関わることになった。システム設計を担当しているエンジニアに、現行ITシステムのアーキテクチャ仕様がわかるドキュメントを持ってきてくれないか、と言ったら、750ページのドキュメントを渡された。このように、たいてのITシステムは複雑だ。何年もの間、何回も投資をして、継ぎ接ぎで修正をかけて運用してきたITシステムは、ものすごく複雑になるのだ。

第三に、ITプロジェクトの失敗だ。現在、約3,000億ドルが新機能を追加するプロジェクトに使われている。しかし、半分以上のプロジェクトは失敗している。仕様策定、開発に十数ヶ月もかけて行うような大規模なプロジェクトでは、できあがる頃に起きている要求の変化に耐えられない。何年もかけてバージョン1からバージョン2にするようなITプロジェクトがうまくいかなくなったのだ。2年先に何が起こるかを的確に言い当てられるCIOは、ほとんどいないはずだ。要求仕様は、時が経てば、すぐに変わっていくものだ。

WTF? – What’s the Fix? (What The F*ckとかけている) じゃあどうすべきか?
(ハーバードビジネスレビュー誌のDavid Upton, Ph.D. のビデオ紹介)
・顧客中心のビジネスモデル
・技術の可能性を提供するようなモダンなアーキテクチャ
・イノベーションを提供する新しいやりかたを採用する

いま、誰もがクラウドに関心がある。クラウドなら、ソフトウェアではなく機能を購入できる。ビジネスバリューに対してお金を払うことができるのだ。クラウドはモダンなモジュール構造を備えることができ、テスト、生産を迅速に行う手段を提供してくれる。
Red Hatはサブスクリプションモデルを採用している。機能ではなく、提供するビジネスバリューに対してお金をいただいている。我々は不必要な機能は開発しないし、新バージョンがリリースされても必要以上に宣伝はしない。そんなことをしてもお金にならないからだ。顧客が必要ならアップグレードして新機能を利用するのも自由だし、安定して現在のシステムを使い続けるのも自由だ。

(ハーバード医大 CIOの John D. Halamka, MD, MSのビデオを紹介)

ここでPaul Cormier氏 (Executive VP of Product and Technology) が登場。

まず昨年お話しした内容をおさらいしよう。

●ロックイン2.0
80年代のアーキテクチャを振り返ってみれば、DEC、Sun Microsystemsなど、それぞれのベンダが独自のスタックを持っていた。ベアメタル、OS、アプリケーション。顧客に対する強いロックインが起きていた。
これに対してオープンソースは、OSのロックイン、ミドルウェアのロックインを解いていき、いまオープンソースによる完全なスタックが完成するところまできている。そして今度はクラウドコンピューティングの景色を変えるときだ。
OracleはSunを買収し、ベアメタルからミドルウェアまでを統合した完璧なプラットフォームを提供すると言っている。まるで80年代に戻ったようだ。

MicrosoftはWindows Azureでオンプレミスとクラウドのどちらも、全てのレイヤを同じようにWindowsで統合しようとしている。これは80年代—(マイナス)ハードウェアだ。

VMwareとSUSE Linuxが先週、提携を発表したが、SUSEは特定のハイパーバイザだけをサポートするという。これもオープンソースの私に言わせれば、まるで80年代のやり方だ。

80年代のロックインがバージョン1だとしたら、これはまるでロックイン2.0だ。
一方、我々は過去9年間、顧客に選択肢を提供することに努力してきた。Red Hat Enterprise Linuxはプライベートクラウドのために最適化をしてきた。Red Hat Virtualizationだけでなく、Microsoft Hyper-VやVMwareのゲストOSとしてもリソース管理、セキュリティ管理、スケーラビリティなどが最適に動作するように最適化してきた。本当の選択肢を提供するためだ。

(Dennis Foster, VP of Technology Planning and Engineering, Marriott Internationalのビデオ紹介)

●Red Hat Cloud Foundation – Edition One の発表
次世代のミドルウェア製品は、POJO、JEE、Spring、Ruby、Groovy、PHPなどを1つのスタックで提供する。これはアプリケーションのライフサイクルをサポートする点でとても重要なことだ。クラウドコンピューティングとは、リソースをベアメタルからプライベートクラウド、あるいはパブリッククラウドへとオフプレミスにすることだ。このときアプリケーションからみてスタックの一貫性が求められる。いま、JBossをこうした一貫性のある基盤にするべく作業を進めている。

(Brian Clark, Chief Software Architect, NYSE Euronextのビデオ紹介)

次に、Red Hatの仮想化関連製品群をみてみよう。Red HatはKVMを使って、NTT、IBM、Amazon Web Serviceと共に相互運用性に関する共同研究をしてきた。今日、統合VDI製品のリリースを発表する。

(Riboh Ohno, Business Network Service Division, NTT Communicationsのビデオを紹介)

今日、本当のクラウドを発表しよう。Red Hat Cloud Foundations - Edition Oneだ。

これは顧客のためにクラウドを提供するサービスプロバイダに、ツール、サービス、コンサルティング、トレーニング、リファレンスガイドなどを提供し、エンタープライズクラスのクラウドを構築してもらうためのものだ。
顧客はプライベートクラウドでの仮想化レイヤに、KVMの代わりにVMwareやHyper-Vを選び、その上にRHELを載せることもできるし、パブリッククラウドでAmazon クラウドを選び、OSにRHELとJBossを載せることも、IBMのクラウドでRHELの上にIBMのミドルウェアを載せることもできる。顧客は選択肢が得られる。

(Maria Azua, VP of Cloud Computing Enablement, IBMのビデオ紹介)

まとめよう。Red Hatはプライベート、パブリッククラウドのための包括的なソリューションと選択肢を提供する。そしてロックインを解除していくのだ。

5/27/2010

最近のGoogleの動きとGoogle I/O

最近のGoogleの動きとGoogle I/Oに関してまとめておく。

●Googleも企業BIを狙っている
GoogleのベータサービスであるLabsに、MapReduceホスティング的サービス「BigQuery」が登場。これまでデータウェアハウスがやってきた分野をHadoopディベロパがかっさらおうとしている最中、MapReduceの本家がそのホスティングサービスを開始すると言っているように聞こえる。ユーザはGoogle Storage for Developers経由で巨大なデータを転送し、SQLライクな命令でBigQueryに処理を委託できる。



http://googlecode.blogspot.com/2010/05/bigquery-and-prediction-api-get-more.html


またGoogle App Engine上でMapReduceを実現するオープンソースプロジェクト「appengine-mapreduce」も動き出した。前述のBigQueryは中身が隠蔽されているため、MapReduceで処理しているかどうかは不明だが、appengine-mapreduceはMapReduceのオープンソース版と言っていい。


現在はPythonのみ、しかもMapperの試験実装だけが公開されているが、今後はJava版の開発も行っていく模様だ。

●Google I/O 2010でのいくつかの重要な発表
2010年5月19日から2日間、Googleによるディベロパ向けの年次イベント「Google I/O」がMoscone Center (San Francisco, CA)で開催され、5,000人以上のディベロパが参加した。「I/O」はディベロパがコーディングをするときに最初に考えるものである入出力を表すと同時に、Webやコラボレーションを使ったオープンな中でのイノベーション(Innovation in the Open)という願いがこめられているとのこと。参加には$2,000以上必要だが、チケットはほぼ即日完売の人気ぶり。今年はキーノートの様子がYouTubeでリアルタイム中継されており、Twitterでは視聴者が秒刻みでキーノートの様子を逐次アップしていく様子を見ることができた。リアルタイム中継の視聴者の数は24,000人であった。キーノートの様子はそのままYouTubeにオンデマンドストリーミングとしてアップロードされており、現在も観ることができる。

http://code.google.com/intl/ja-JP/events/io/2010/

・HTML5向けWebアプリケーション開発が本格始動
(Internet Explorer以外がHTML5をサポートしているグラフを示しながら)すべてのモダンなブラウザがHTML5をサポートしていると言い放って観衆から拍手喝采を受けると、今後はHTML5がWebを支える重要な技術でありGoogleはディベロパが簡単にHTML5の技術の恩恵を受けられるようにAPI開発を行っていく、と本腰でHTML5をやっていく姿勢を示した。
・ビデオコーデック「VP8」のオープンソース化
今年Googleはビデオコーデック技術の会社であるOn2 Technologiesを$2Bで買収しているが、Googleはその「VP8」と呼ばれるビデオコーデックをオープンソースにすることを発表した。そしてオープンソースの音声フォーマットOgg Vorbisと合わせてオープンで高品質なWebメディアを開発するプロジェクト「WebM」を立ち上げることを発
表した。

WebMプロジェクトには、Mozilla、Adobe、Opera、Skypeなどのソフト系ベンダだけでなく、AMD、ARM、NVIDIA、Qualcommなどのチップ系ベンダなど38社が参画している。なお、YouTubeにアップされているこのキーノートのビデオも、早速WebMを使って制作されていた。つまり、Adobe Flashで既にWebMをサポートしていることがわかる。また既存のYouTube動画のURL末尾に「&webm=1」を追加すると、実験的ではあるが、WebM版の動画リストが表示されるようになっている。もちろん再生するには「モダンなブラウザ」が必須である。


・Chrome Web Store
Webアプリが増えるに従い、ユーザが目的のアプリケーションを見つけるのが難しくなってきた。またディベロパはアプリを配布する環境を整え、マネタイズの方法を考え効果的に宣伝し、ユーザからのフィードバックを得る、というのは簡単ではない状況にある。そこでGoogleはWebアプリのマーケットプレイスを開発中であることを発表。いってみれば、Google版のApp Exchangeであり、iTunes App Storeである。面白いのは、C++などのネイティブコードで書かれたアプリも扱えること。つまりWebブラウザで高速に動作する3Dゲームを楽しむこともできる。日本語を含む40以上の言語を対象に開発を進めており、2010年の秋ごろに公開を予定している。

・VMwareとの協業によるJavaアプリのクラウドポーティング
なんとVMwareのPaul Maritzが登場。そしてGoogleとVMwareがJavaアプリのクラウドポーティングに関する協業について発表。



SpringSourceの持つJavaフレームワークSpringをバックエンドにして、Google Web Toolkit(GWT)のリッチなUIとつなげ、Javaアプリの開発を容易にした。つまりvCloudにSpringフレームワークを乗せただけでなく、なんとGoogle App EngineにもSpringフレームワークを乗せてしまったのだ。





デモではわずか200キーストロークだけで経費精算レポートシステムを構築、時間にすると解説も入れてわずか2分。信じられない方は是非YouTubeをご覧いただきたい(デモは1:30:00頃)。もちろん、開発したアプリはクリックひとつでGoogle App Engineにデプロイ可能。またGWT 2.1 Widget Libraryを使うとそのままiPhone/iPadやAndroidなどのモバイルでも同じWebアプリケーションが利用できる。次のデモでは、さきほど2分で構築した経費精算レポートシステムを使って、Nexus Oneから3Gネットワーク経由で夕食接待費の精算申請を入力し(左側)、上司がそれをWiFi経由のiPadで承認してみせた(右側)。


・ビジネス向けGoogle App Engine
ビジネス向けのGoogle App Engineを発表。これは通常のGoogle App Engineにビジネス向けの機能を追加したものだが、注目すべきはSQLデータベースの提供だろう。これまではGoogle App Engine上のアプリがデータを永続化するには、BigTableと呼ばれる列指向DBMSに特殊なAPIを通してアクセスする必要があり、これまでのRDBMSを前提に構築されたアプリを乗せるのは容易ではなかった。SQLがサポートされることで、一番大きな敷居が取り除かれることは確実だろう。事実、会場にいるディベロパからは拍手が起こった。
気になる料金は、ユーザあたり$8/月とリーズナブル。1つのアプリケーションで最大$1,000/月まで課金し、それ以上は使い放題になる。SNSなどの非業務系アプリから試してみてはいかがだろう。顧客に提案する際のインフラの選択肢のひとつとしても使えるだろう。


まっさらな会社が新しい社内システムを作る場合にはとても魅力的だが、既存のシステムを持つ会社がこれに移行するには、移行期間に並行運用が可能となるような仕組み(認証基盤、データのツナギなど)が提供されなければならない。もちろん、明日あたり、これらの機能が実装されたGoogle Appsが前述のChrome Web Storeにアップされているのかもしれない。


・Android 2.2
1人の独裁者、1つの企業、1つのデバイス、1つのキャリアからもたらされるのは1つの選択肢しかない、こんな未来はいらない、とバッサリ。明らかにAppleを指して言っている。一方GoogleのAndroidは21のハードウェア企業にOEM提供し、世界 48カ国の59のキャリアで動作する。

そのAndroidの新バージョンである2.2(コードネーム"Froyo")が発表された。パフォーマンス向上、企業向けの機能強化、アプリケーションのクラウドバックアップ、クラウドからのPUSH型メッセージングAPI、Webアプリケーションからのカメラ/GPSなどのデバイスへのアクセス方法の提供、音声検索など。メッセージングAPIはちょっと面白い。PCからクラウド経由でAndroidデバイスにメッセージを送信できる。例えばPC上のGoogleマップで検索したナビゲーション情報を送ると、AndroidデバイスではGoogleマップが自動的に開かれナビゲーション情報を表示する。




・Google TV
Webとテレビを融合するソフトウェアプラットフォーム「Google TV」を発表。Android 2.1ベースでChromeブラウザとFlashがついている。そのため、モバイルで観ていたYouTubeの動画をTVに送信して家族でシェアして観たり、Android Marketからアプリをダウンロードして走らせたり、Flashゲームを楽しんだりできる。デモではドラマのクローズドキャプション(字幕)をGoogle Translateを使ってリアルタイム翻訳して表示させていた。Google TVを使う方法は次の3つ。Sonyから発売予定のGoogle TV対応テレビ、Logitechから発売予定のセットボックス、サテライトボックス。いずれも2010年秋に発売を予定している。

9/24/2009

Googleの冷却装置のないデータセンタ(2009年7月稼動開始、ベルギー)

ちょっと古いですが。

http://www.datacenterknowledge.com/archives/2009/07/15/googles-chiller-less-data-center/

[Year-Round Free Cooling]
The climate in Belgium will support free cooling almost year-round, according to Google engineers, with temperatures rising above the acceptable range for free cooling about seven days per year on average. The average temperature in Brussels during summer reaches 66 to 71 degrees, while Google maintains its data centers at temperatures above 80 degrees.
So what happens if the weather gets hot? On those days, Google says it will turn off equipment as needed in Belgium and shift computing load to other data centers.
~以下略~

(訳)
■年中無料の冷却装置
Googleのエンジニアの話では、ベルギーの気候はほぼ年中無料の冷却装置をもたらしてくれ、
気温が許容範囲を超えるのは平均で年間7日間だけだという。
ブリュッセルの夏の平均気温は66~71゜F(約19~22゜C)に達するが、
Googleのデータセンタは80゜F(約27゜C)以上で管理されている。
「もし気温が上がったらどうするんですか?」と訊いたところ、
「そうなったら、ベルギーの(データセンタにある)装置の電源をを必要なだけ落として、
他のデータセンタに計算負荷を移すよ」、とGoogleは語った。



自然冷却できないほど気温が上がったら冷房を使うのではなく、スイッチを切って冷えるのを待つらしいです。
お客さんのサーバを物理的にあずかっているとこんなことはできないのですが、
クラウドなら、こうやってコントロールすることも可能になります。
面白くないですか?意外と札幌とかでできたりしないでしょうか?
このブログの後ろのほうには「月を追いかける」とか不思議なタイトルがありますが、
つまり世界中の中で夜になっている場所のデータセンタだけを稼動させ
冷却装置の稼働時間を抑えて消費電力を節約すると共に、安価な夜間電力を使ってクラウドを運営する、という構想です。
確かにGoogleなら可能にする(An Enabler)かもしれないですね。

iWork.com、Google Apps、Office 2010、Zoho

自分メモ。
これらを一緒に語るのもアレなのですが、Webでオフィス系ツールつながりということで。

●iWork.com (Apple)
これ、意外とまともに動いたことに驚いています。AppleのiWorkっていうオフィススイート的なソフトがあるのですが、これの'09版にこっそりとWeb共有機能がついています。
じつはあんまりWebでやれることはないのですが、ドキュメントのWeb公開と、共有メンバからのコメントがもらえます。編集はできません。
編集できたらうれしいかもしれないですが、もしかしたらオフィスツールってこれで十分だったりするのかもしれません。

●Google Apps (Google)
言わずと知れたGoogle Appsによるオフィススイート的なWebサービス。
確かにMSオフィスの代わりになり得るだけの機能がついてるんだけど、なんか微妙に使いにくいイメージ。もっさりしてるからか?
あと真面目な(Confidentialな)資料なんかは作る気がしない。データが手元にないので、なんか不安。万が一にでも情報漏洩したり、共有権限設定なんかを間違えて世界公開しちゃったりするかも。

●Office Web Apps (Microsoft)
となると、これが本命か?お金を払って、会社ごとに専用サービスとして提供されるようなら、もしかしたら大企業でも採用されるようなこともあるかも。
IE、Firefox、Safariに対応。iPhoneなどのモバイルにも対応していることもうれしいかも。

●Zoho (Zoho)
最近ニュースでもよく見かけるようになったインド系のZoho。
ターゲットを中小企業に絞って、「Webで仕事しよう!」って言ってます。
ただこれ、Google Appsもだけど、まだ微妙な部分でMSオフィスとの互換性が完成されてない。これって結構重要で、例えばパワポで作った資料のフォントがすげ替えられたなんてことでも、かなり痛いと思うんだけど、諸氏はどのように感じられるだろうか?

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まあ、あれです。まだ相互運用性に難ありです。
ODF(Open Document File)が国際標準規格になってがんばってますが、MSは対抗してOffice 2007からOffice Open XMLってのを採用。拡張子のおしりに「x」がつくやつです。もちろん、MSオフィスでもODFが読めるようにサービスパックをリリース予定。
ちなみにiWorkでもOffice Open XMLを読み込めます。
ところが。やっぱりオリジナルのやつとプチ違うデザインで仕上がってくる。僕は、オフィス文書って見た目が結構大事だと思うのです。
そう考えると、PDFって結構うまいこと地位を確保しているなと思うのです。

9/06/2009

VMworld 2009

9/1〜9/3にSan FranciscoのMoscone Centerで開催されたVMworld 2009に参加してきました。人がすげーいっぱいで、事実、参加者は12,500人とか。今回のイベントの中では、僕はvCloud APIの考え方というか哲学というか、どこまでやる気なのかというのが大まかにでも説明を聞けたのがよかったかも、と思ってます。単一ベンダが開催しているイベントは洗脳パーティな感じがして嫌だったんですが、VMworldではオープンソースな開発者もたくさん参加していたし、展示会場の中にもオープンソースな会社が多数あって、なんだかとても不思議な感じでした。まあうまくごまかしていると言えば、そうかもしれないのですが、僕はクラウドコンピューティング熱はオープンに熱していってほしいと思っているのです。どこかのベンダが独占してお金儲けをするのではなく、たくさんの人が便利に使えて幸せになれば、それはすてきなことです。