このあいだ、年度末の名刺整理をしていたところ、アメリカに来てからいただいた名刺が公私合わせて300枚になっていることに気づきました。昨年の5月にアメリカに来たことを考えると、1日に1人、新しい人に会っている計算になります。凄いように聞こえて、実は半分はエキスポなどのイベント事で交換したものなんですけどね。そこで、名刺を並べていて気づいたのですが、どうもアメリカの名刺のほうが日本の名刺よりもひとまわり小さく作られているようです。こちらで買ったクリアケースに日本の名刺だけがうまく収まりません。もっとも、最近は丸いものや言葉では表現できないものなど、デザインが凝っている名刺がありますので、クリアケースに収めようとすること自体がいいアイデアではなかったようです。
さてこのアメリカの名刺、日本と違うのはは大きさだけではないようです。僕の手元にある日本の名刺は、アメリカにある日系企業の駐在員や、日本から出張でいらした方の名刺などですが、明らかに文字数が違います。半分ぐらいは片面が日本語になっている名刺なので、「日本語訳」を見ることができます。どうも部署名や肩書きが長いため、文字数が多く見えるようです。そこから想像するに、これは翻訳の問題だけではなくて、おそらくこれは日米の企業文化や組織構造の違いにも関係がありそうです。気がつくところを挙げてみます。
1) 部署名が長い
アメリカの名刺は、部署名は1行、長くても単語6〜7個が普通のようです。5人未満のスタートアップ企業でも、数万人規模の大企業でも同じです。日本の会社は大きい会社になるほど部署名が長くなりますので、日本語にしてみるとこんなもんかと思うのですが、アメリカのものと比べると奇妙なぐらいに部署名が長いです。それだけで複雑で動きが重い印象を感じます。しかも、ひどいのはそのままエキサイト翻訳に突っ込んだんじゃないかという残念な名刺もあります。
2) 職種が曖昧
アメリカでは、特に名刺の上では、職種を明確に記載することがほとんどです。後で連絡をする時、誰に連絡をすべきかをすぐに判断できるようになっています。例えば「○×ソフトのセキュリティ機能について仕様を訊きたい」と思ったら、Product SalesやProgramming StaffやDatacenter Architectではなくて、Software Architectにメールを送ればいいのです。一方、日本の名刺は、部署名とは正反対にシンプルです。Engineer、Manager、Director、Salesなど。これは日本の組織構造を想像しながら部署名と合わせて類推できないと、実際に何をしている人かを当てるのは難しいでしょう。
3) 役職(職位)もおかしい
前述の職種にもつながるのですが、アメリカは日本の企業のように縦の深さがないので、組織構造のツリーを翻訳するときにうまく対応づけられないのかもしれません。例えば、Managerが設計をすることがあるとアメリカ人が知ったら驚くと思います。それから、肩書きがないのがあったりします。きっと日本でいう「担当」なんでしょうが、肩書きがない人=ポジションが与えられていない人です。
今までの僕の経験からみると、アメリカの肩書きは次のようになっているようです。
社長 | President、Chief Executive Officer |
役員クラス | Chief xxx Officer、Executive Vice President、Senior Vice President |
本部長クラス | Vice President |
部長クラス | General Manager、 Senior Account Executive |
課長クラス | Sales Director、Account Director、Chief Software Architect、 Chief Network Architect、Chief Consultant |
主任クラス | Administrative Supervisor、Sales Manager、Account Manager、Product Manager、Software Architect、Network Architect、Enterprise Architect、Senior Consultant |
担当クラス | Product Sales、Solution Sales、Sales Engineer、Software Engineer、Network Engineer、IT Consultant |
新人 | Assistant Engineer、Sales Assistant、Assistant Manager、Administrative Assistant、Staff |
そこで提案です。英語の名刺(裏面)は、直訳はやめて、英語圏の文化に合わせて印刷してはどうでしょう?例えば、こんな感じです。
[変更前]
Taro Nippon Manager 1st Section Security Software Development Group Software Development Office Research & Development Division |
[変更後]
Taro Nippon Chief Software Architect R&D Security Software Group |
もちろん僕は日本以外ではアメリカの企業しか見たことがありませんので、ヨーロッパはまた違うのかもしれません。もしそうであっても、ヨーロッパの取引先が多い方はその文化に合わせて別の名刺を作れば良いと思うのです。この話はうちの会社の名刺も該当しますが、日本から出張して来る他社の方の名刺も同じようになっていますので、もしかしたら名刺屋さんがそういう提案をしているのかもしれませんし、それともどこかに暗黙の規格があって、みんなそれに従っているだけなのかもしれません。まあいろいろ事情があるにせよ、名刺を渡したのにも関わらず「あなたは会社で何をやってるのですか?」と訊かれるのはおかしいと思いませんか?
"Never Eat Alone (独りで食べるな)"という、ビジネスの格言があるそうです。これは「食事は大事なコミュニケーションツールなのに、食事する回数は一生で限られている。独りで食事をすると人脈を作る大切な機会を失ってしまう。」ということを言っています。もちろん僕はエンジニアですから外回りばかりやってるわけにはいきませんが、せめて週に1度は新しい人に出会ってランチに誘いたいと思っています。そのときには、できればわかりやすい名刺を渡したいですね(笑)。来年度は"Never Eat Alone"でがんばります。
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